米国は没落したのに日本トイザらスが積極出店に転じた理由:小型店に活路
米トイザらスが米国の全店舗を閉鎖したのに日本トイザらスは積極出店に転じる。ネット通販や量販店とどのように差別化をしているのだろうか。
米トイザらスは3月15日、米国での事業を清算すると発表した。プエルトリコと米国内の全735店舗を閉鎖するという内容だった。
衝撃は日本国内にも及んだ。3月16日、日本トイザらスの社員は取引先を安心させるために書面を送った。日本トイザらスの広報担当者は書面の詳細について公表はしないが、取材に対し「日本トイザらスの財務内容に問題はなく、今後も取引先との支払いは滞りなく行う」「米トイザらスと日本トイザらスには財務的な関係はない」「当初の予定通り、日本での出店数は増やしていく」といった内容であることを認めた。
米トイザらスの業績が悪化したのは、アマゾン・ドット・コムをはじめとするネット通販が台頭したせいだ。日本でもおもちゃのネット通販は浸透している。量販店やスーパーなどでもおもちゃが販売されるようになり、「町のおもちゃ屋さん」は減り続けている。それなのに日本トイザらスの全店舗数は161店とここ数年横ばい状態を保っている。さらに、積極的に出店する戦略を打ち出したのはなぜだろうか?
同社の広報担当者は「楽しいショッピング環境を提供できたことが支持されている」と説明する。おもちゃを実際に手に取って遊べるイベントや、人気キャラクターの衣装やアクセサリーを着用できる撮影会を頻繁に開催している。この点がネット通販や量販店との差別化要因になっている。
積極出店する背景については「2016年から展開している小型店が好調なため」と説明する。トイザらスの主力は大型店だ。売り場面積は平均で約2200平方メートルある。16年から新規出店した仙台市や大阪府堺市にある店舗の売り場面積は大型店の3〜5割程度だ。品ぞろえは少なくなるが、立地によって売れそうな商品を厳選したことが奏功したという。売り場面積の関係から大型店では出店できなかったエリアもあったが、小型店ならば新規開拓が可能になる。
大型店に商品をずらりと並べるだけでは競合店との差別化ができなくなっている。日本トイザらスが日本市場で生き残り、積極出店に転じることができたのは、日本にあったビジネスモデルを確立できたおかげだといえそうだ。
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