メルカリ流「新規事業を爆速で生む4カ条」:普通の会社でもできる(1/5 ページ)
新規事業を次々と立ち上げるメルカリ。意思決定や権限移譲の仕組みに秘密があった。普通の企業でもマネできる4つの要素とは?
特集:新しいビジネスの種はどこにある?
既存の事業が成熟期を迎えた企業がさらにビジネスを拡大するためには、ざっくり言って、海外など新しいマーケットを開拓するか、これまでとはまるで異なる新規事業を立ち上げるかの2つだ。実際、「新規事業開発室」といった名称の部署がある会社は少なくないが、必ずしも成果が出ているとは言い難い。それはなぜだろうか。本特集では新規事業が成功するための秘けつを探る。
メルカリとグループ会社のソウゾウ(東京都・港区)は新規事業を次々と立ち上げている。直近では、共同運用型のシェアサイクルサービス 「メルチャリ」を2月から福岡市内でスタートさせた。過去には、「メルカリ メゾンズ」や「メルカリ カウル」といったフリマアプリをスタートさせている。
スピード感をもって新規事業を立ち上げる原動力はどこにあるのか。2016年8月に検討を開始し、2カ月後には正式にプロジェクトがスタート、17年5月にサービスを開始したメルカリカウルのケースで見てみよう。
メルカリカウルは本、CD、DVD、ブルーレイ・ディスクといったエンタメ・ホビーの取引に特化したフリマアプリだ。出品したい商品のバーコードを読み取るだけで商品情報(タイトル、著者名、発売日、定価など)が自動で入力される。商品はメルカリにも同時に出品される。商品が売れると出品者は販売価格の10%を手数料として運営者に支払う。
メルカリカウルが新規事業として立ち上がったのは、フリマアプリ全体の利用者を増やすためだ。エンタメ・ホビー領域の商品は、メルカリで取引されている服やバッグなどと比べ価格も安く、取引される量も多い。本やDVDを気軽に出品・購入してもらうことで、将来的に別の商品も売買してもらおうという狙いがある。メルカリカウルは扱う商品を絞っているので、メルカリと比べてより少ない手間で売買できるようになっているのが大きなポイントだ。
メルカリカウルの事業全体を統括したのは、メルカリとソウゾウで執行役員を兼任する藤崎研一朗氏。UX設計・デザインを担当したのがソウゾウの大杉健太氏だ。
彼らが新規事業を企画してから立ち上げるまでの経緯をもとに、新規事業をスピーディに立ち上がることができる4つの理由を考察する。
関連記事
- 新聞購読が減っているのに凸版印刷がチラシで稼いでいる理由
新聞が読まれなくなり折り込みチラシの量は減っているのに、チラシの事業で凸版印刷が稼いでいる。本格的なビジネスモデルを確立してから黒字化するまでの道のりとは? - TENGAの新規事業 「性の悩み」を真面目に解決
性生活を楽しむグッズを製造するTENGAが新規事業を立ち上げた。医師とともに男性の“妊活”アイテムを真面目に開発。新会社を設立して事業を軌道に乗せるまでの経緯とは? - すぐに成果を求めてガチガチに管理するような新規事業は失敗する
ビジネス成長のために新規事業を立ち上げようとする会社は少なくない。しかし、成功よりも失敗する会社が多いのではないだろうか。それはなぜだろう? - “優秀ではない”人が「ゼロイチ」に向いている理由
「優秀ではない人こそ、ゼロイチに向いている」――。そう語るのは「Pepper」の元開発リーダー、林要氏だ。林氏の考えるゼロイチを生み出すリーダーに求められる資質とは? - 急成長中の日本ワイン 礎を築いた先駆者たちの挑戦
日本で本格的なワイン造りが始まってから140年。いまや急成長を続ける「日本ワイン」はいかにして生まれ、発展してきたのだろうか。先人たちの苦闘と挑戦の歴史を追った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.