完全リモートワークの会社で盛り上がる社内イベントとは?:経営陣との意思疎通もスムーズ(3/3 ページ)
完全リモートワークを実践している社員30人の会社がある。経営陣が命令しているわけではないのに、社員が次々と社内行事や勉強会を企画している。その原動力はどこにあるのか?
イベントを柔軟に運営する
社内イベントが盛り上がらない原因の1つにマンネリ化がある。開催すること自体が目的となり、社員がイベントの意義を見い出せなくなるのだ。
ソニックガーデンでもかつては全社員を集める合宿を年に1度行っていた。社員同士の交流促進と経営方針を伝えることが目的だった。だが、社員数が20人を超えてから、1泊2日で全社員が交流するのが難しくなった。今は数人単位の合宿をしているという。
「全員が集まるのは年に1度の家族感謝祭だけにしました。イベントの開催形式を柔軟に変更できるように常に意識しています」(倉貫社長)
倉貫社長は社員を同じ場所に集めるのではなく、さまざまな情報を社員と共有することで経営方針が自然と伝わるようにしている。
例えば頻繁なブログの更新。経営課題や働き方について執筆した記事は300以上になる。17年に公開した「『30人の壁』を越えた自己組織化の実験と結果〜適材適所で全員が活躍できる組織」では、新卒採用の社員をどう育成するのかといった経営課題などを取り上げている。
会社の売り上げや経費について社員全員が閲覧できるようにしている。「数字を見れば、自分の給料以上を稼ぐにはどうしたらいいかを社員が自然と考えるようになります」と倉貫社長は説明する。
Remottyでは倉貫社長が仕事上で不快に感じたことや弱音を吐露している。「社員」と「経営陣」という垣根をなくして自由に情報交換できる場をつくることで、参画意識を高めようとしている。
無駄な社内イベントを減らし、「楽しい」「集まりたい」と心から思えるイベントだけを行える環境をつくることも重要だろう。
イベントの目的を真面目に考える
ソニックガーデンの事例が示唆するのは「何のために社内イベントを行うのか?」を突き詰めて考えることの大切さだ。
「社員の交流を促すために社員旅行や花見イベントは必要だろうか?」
「経営陣の考えを伝えるのに社員がわざわざ集まる必要はあるだろうか?」
自分の仕事を進めるうえでやらなくてはいけないことは現場の社員が一番分かっている。経営陣がするべきは、押しつけのイベントを開催することではなく、社員の思いを促進するような環境づくりだろう。
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