「ワイモバ」トップが熱弁 躍進の裏に“ウィルコムの教訓”あり:前進なければ死あるのみ(2/3 ページ)
「Y!mobile」は、なぜ競争が激化する格安SIM市場で勝ち続けるのか。その背景には、前身ブランド「WILLCOM」の失敗で得た教訓が生きているという。ウィルコムで要職を歴任し、現在はワイモバのトップを務めるソフトバンク寺尾洋幸執行役員に話を聞いた。
「Yahoo!プレミアム」との連携に自信
こうした“いたちごっこ”が続く市場において、寺尾氏が「他社は容易にまねできない」と自信を持っているのが、ヤフーの有料会員サービス「Yahoo!プレミアム」との連携だ。
ワイモバユーザーは「Yahoo!プレミアム」の月額料金が無料となり、EC(インターネット通販)サービス「Yahoo!ショッピング」「LOHACO」利用時のポイントが5倍になるほか、「ヤフオク!」が制限なしで利用できる――といった特典が受けられる。
寺尾氏は「ソフトバンクグループのシナジーを生かした施策で、ECが爆発的に広がっている時代の流れに即している。ユーザーに高い付加価値を提供し、お得な買い物体験を届けられている」と自信を見せる。
「実店舗の買い物が難しいユーザーを助けられる点も大きな魅力だ。ワイモバが誕生した頃、地方の過疎化や商業施設の閉店によって、高齢者が“買い物難民”と化すケースが増え始めていた。私は当時から、ゆくゆくはECと連携し、人々の課題を解消することを視野に入れていた」
「Android One」採用に“裏の理由”あり
寺尾氏がもう1つ、他社との差別化要因になっていると考えるのが端末ラインアップだ。ワイモバは16年夏から、米Googleが展開するプログラム「Android One」を採用したスマホを積極的に展開している。
Android Oneは、米Googleと各メーカーが協力し、ソフトやインタフェースを統一した端末を開発する取り組み。細かな仕様は異なるが、基本的にはどのメーカーの端末を選んでも使用感がほぼ同じである点が特徴だ。Android端末に精通したスタッフ『Android Ambassador』も600人ほど全国に配置し、接客の質も高めている。
「比較的安価で、ユーザーに快適なスマホライフを提供できるAndroid One端末をそろえたこともワイモバの強み。ワイモバは規格を統一したエントリーモデルを豊富に取りそろえることで、スマホデビューする層の獲得に成功している」
また、寺尾氏によると「Android One」採用には隠れた理由もあるという。
「ユーザーだけでなく、スタッフも端末の仕様を覚えやすいのが『Android One』の隠れたメリット。サービスを安く提供しているワイモバは、スタッフ教育などにあまりコストを割けない。その弱点を逆手にとり、均一なスマホを取り扱うことで効率よくスタッフを戦力化できている」
「実は、3段階の『スマホプラン』にも同じ狙いがある。スタッフが簡単に理解して説明できるため、教育コストが少なくて済む。だからこそ、競合他社も相次いで取り入れているのだろう」
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