70周年“ブランドのコメ兵”が直面した「2つの危機」:石原卓児社長インタビュー(3/3 ページ)
中古ブランド品リユースでトップを走るコメ兵。今年で70周年を迎えた同社は、「2つの危機」に直面した。危機的状況をどう乗り越えたのか。石原卓児社長にインタビューした。
ブランドリユース×テクノロジーへの姿勢
100年企業を目指すコメ兵は、新しい分野への挑戦にも乗り出している。17年11月には宝石、時計、バッグ、衣料品などのブランド品に特化したフリマアプリ「カンテ(KANTE)」をスタート。「メルカリ」が圧倒的に強いフリマアプリへの参入のワケを、石原社長は次のように話す。
「約2兆円といわれるリユース市場は成長を続けています。リアル店舗の成長率は鈍化していますが、オンラインはB2CもC2Cも伸びている。コメ兵はさまざまなユーザーに向けてサービスを展開してきましたが、オンラインC2Cだけは全く取り組んでおらず、『このままでいいのか』とずっと思っていました。若い人だけではなく、経営者層もフリマアプリを使っている。家で眠らせていたものを市場に出す切り口として注目を浴びているオンラインC2Cに、コメ兵らしいやり方があるのではないかと考えました」
石原社長が「コメ兵らしさ」として挙げるのが鑑定機能。「カンテ」は、出品したブランド品が購入されると、コメ兵の鑑定士の鑑定を経て購入者に送るサービスが特徴だ。「偽物を購入してしまうかもしれない」というユーザーの不安を、コメ兵が強みとする鑑定技術で解決することを目指している。
アプリ単体ではまだビジネスとして課題はあるが、コメ兵の認知拡大やブランド力向上には寄与しているという。まずは100万ダウンロードを目標に、「ターゲットとするお客さまに理解をいただき、プロモーションをしていく」としている。
ブランド品を取り巻くビジネスには、「シェアリングエコノミー」という新たな風も吹いている。ブランドバッグや財布の月額借り放題が登場し、新興プレイヤーが成長している。この流れを石原社長は「脅威である半面、市場が広がる期待もあります」とみる。
「シェアリングエコノミーは時代の流れ。『所有』にこだわらない考え方は確かに脅威です。ただ、こうしたサービスが増えることで、『人が使ったものでも使える』と考える人が多くなり、リユース市場全体が拡大するのは、コメ兵にとってもよいこと。遠慮なく買って、遠慮なく使って、遠慮なく売る――そうした流れの中でコメ兵を選んでもらいたいですね」
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