クボタが19年末までに残業半減、狙いは?:無駄な業務を見直し
クボタは事務部門などの残業時間を2019年末までに17年比で半減する。働き方改革を進めることで、海外事業など付加価値の高い業務に社員が注力できる環境を整備するのが狙いだ。
農機大手のクボタは、事務部門などの残業時間を2019年末までに17年比で半減する。在庫削減やリードタイムの短縮など、製造現場で培ってきた生産性改善のためのノウハウを事務部門にも応用していく。対象は、大阪本社の事務部門約150人。「無駄な業務の見直しによって生まれた時間を、事業の拡大につながるような付加価値の高い仕事に充てるのが狙い」(広報)という。
クボタはこれまでも、トヨタ生産方式を参考とした「クボタ・プロダクション・システム(KPS)」を推進し、国内外の工場で作業の無駄を取り除いてきた。17年の実績で、1カ月平均の残業時間は約20時間だが、さらなる労働環境の整備に向けて19年末までに10時間以下に抑える。
残業削減の対象となる事務部門は、人事部や経営企画部など4つ。各部門では17年10月から、業務改善のトライアルをすでに始めている。成果を踏まえ、対象となる部署も段階的に広げる。今後、本社勤務で間接事務部門などに所属する4割強に相当する約450人に広げていく考えだ。営業部門への適用も今後詰めていく。
トライアルでは、対象部署の社員が労働時間短縮のための改善策を自ら提案し、実行している。例えば、これまで紙ベースだった決裁書類を電子化して仕事が滞留しないようにしたり、無駄な会議資料を削減したり――といった施策を行ってきた。「月に一度の全体会議で、改善策が他の部門にも応用できるかを検証しながら進めている」(広報)という。
海外事業展開の追い風に
急速なグローバル化によって、クボタの海外売上高比率は7割弱となっている。無駄を削減することで海外事業に携わる社員が本来の業務に注力できる環境を作ることが喫緊の課題であるため、残業時間の削減も木股昌俊社長が自ら音頭を取って進めてきた。
トライアルを始めて半年が経過したが、今後も非効率な業務を見直して「働き方改革」を進めていくという。
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