人の心を操る“社員”にご用心 彼らの手口を紹介する:常見陽平のサラリーマン研究所(2/3 ページ)
巧みなワザを使って、人を振り回す“ホスト的社員”がいる。商談を有利に導くために、彼ら・彼女らはどのようなワザを繰り広げているのか。筆者の常見陽平氏が紹介する。
やたらとドラマチックなトーク
やたらとドラマチックなトークをする――。
この字面だけを見ると、多くの人が意識高い系(やたらと意識が高い言動をするが、実力が伴わず空回りする者)や、社二病(社会人2年目くらいになると現れる、無駄に自信があったり、自分に酔ったりしている者)を思い出すのでは。「日本のマーク・ザッカーバーグになるために、オレはここ渋谷の、この会社を、イノベーションの発火点にする!」なんてことを言い出す輩だ。
一方のホスト系社員はまったく違う。意識高い系や社二病社員は自分のことが大好きで、自己PRを発信しているだけなのに対し、ホスト系社員はあくまで相手に対して、心から(?)言葉を届けるからだ。
例えば、彼らは次のようなトークを使う。
「御社をパートナー企業に選んだことは、グッド、ベターどころか、スーパーベストだったことを、昨日の打ち合わせで確信しました!」
伝える内容は同じでも、レベル感を変えることによって劇的に変化させている。また、会話内容などを引用することでよりドラマチックに仕上げる傾向がある。
「私ほどの幸せ者はいないと思います。なぜなら、○○さんのつくる企画を、この世で最初に読めるのですから!」
これも取引先をやる気にさせるトークだ。ちなみに、これは編集者がよく使うフレーズである。この言葉を使うことにって、相手に締め切りやクオリティーのプレッシャーを与えることができる(担当編集D:なるほど。勉強になって、私は幸せものです!)。
「御社のために、総力を結集してドリームチームをつくりました。このチームの目標は○○社長の夢を達成すること。見る夢を実る夢に変えていきましょう!」
社内のメンバーを集めただけなのに、「ドリームチーム」と自ら言い切ってしまう。100%自社都合にもかかわらず、「お客さまのために」という姿勢を強調する。取引先の利益こそが自分の幸せと考えている輩が多く、ポエム的なフレーズで盛り上げるのが得意だ。
例として「社長」に対するメッセージを挙げたが、実は管理職にも効果は抜群である。「○○課長のために、がんばろうと誓ったんです!」といった言葉を送ると、管理職はやる気満々になる。
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