「食べ放題」を強化する牛角の“出遅れ感”:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)
「焼肉デート」という言葉を生んだ牛角は、落ち着いて飲み食いができる「居酒屋焼肉」の業態で国内最大手に上り詰めた。しかし、ライバルが食べ放題の業態に次々参戦。キャッチアップはできるのだろうか?
焼肉業界最大手「牛角」チェーンが食べ放題を強化している。一般の牛角に食べ放題を導入するだけではなく、食べ放題専門店「牛角ビュッフェ」を開発。牛角ビュッフェはタッチパネルで注文するテーブルオーダー形式で、首都圏で7店を展開するまでに増えてきた。
経営するコロワイド傘下のレインズインターナショナルでは、「まだ実験段階にある」と慎重な姿勢を保ちながらも、「集客好調」(同社・広報)と自信を見せており、牛角の将来を担う業態と期待度が高い。
牛角の顧客層はファミリーに移行しており、かつてのような若者が集まる店ではなくなってきている。アルコールを前提とした居酒屋的な店から、子供連れで行けるファミレス的な店への移行が課題となる中で、導き出された解が牛角ビュッフェなのである。
つまり酒を飲まなくても満足できるのが、牛角ビュッフェのテーマだ。
肉の鮮度が高い牛角ビュッフェ
牛角ビュッフェのシステムはシンプルだ。食べ放題は100分。1人あたり75品で2680円(税抜き、以下同)、100品で2980円、プレミアムコースだと120品で3980円だ。ドリンクバーは別途390円で付けられる。アルコール飲み放題は1280円である。
平日限定のランチメニューも実施しており、680円〜1380円で、冷麺、ハンバーガー、焼肉、ステーキなどが味わえる。50品以上で1980円というお得な食べ放題もある。
なお、一般の牛角は食べ放題90分で、80品以上2980円、100品以上3480円、120品以上4380円の3コースがある。牛角ビュッフェのほうが一般の牛角よりも1割ほど安く、時間も10分長い。
店員によると、牛角ビュッフェの特徴は店内で切り立ての肉を提供する点にある。一般の牛角は肉をカットする際に一度解凍して、再冷凍した後に店舗に配送している。冷凍する回数が少ないため、一般の牛角よりも肉の鮮度が高いのだそうだ。
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