必殺・新人つぶし! ――裸になれない“小ジジイ”の壁:新連載・河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/5 ページ)
新入社員を待ち受ける“小ジジイ”の壁。小ばかにした態度で指示したり、自慢話を延々と続けたりして、モチベーションを下げる人たちです。“小ジジイ”にならないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?
「他者評価」が生きがいの“小ジジイ”たち
ただ、そんな小ジジイたちも社内では期待通りの評価が得られていません。
「属性・肩書」好きの小ジジイたちは、もっと周りから「すごいね〜」と称賛される肩書が欲しい。意識タカスギ君は、「プロジェクトリーダー」「海外支店転勤」「最年少課長」といった目立つ肩書を手に入れ、「オラオラオラ、これが目に入らぬか〜!」と見せびらかしたい。口だけ番長は、もっともっと出世して「部長」「役員」「常務」といった肩書を手に入れ、同期や同級生より上に立ちたい。
ところが、残念なことに上司や会社は、ちっとも評価してくれないのです。そりゃあそうです。「意識」ばかりで「行動」は伴っていないわけだし(→意識タカスギ君)、「過去」の話で「今」は死んだふりしているわけだし(→口だけ番長)、評価されるわけない。そんなめでたい会社があったら、私が就職したいくらいです。
いずれにせよ、意識タカスギ君も口だけ番長も、自己評価と他者評価とのギャップに自尊心が揺らいでいます。その揺らぎを食い止めるために、自己防衛的に新入社員に偉そうな態度をとってしまうのです。
自尊心とは「自我(自分が考える自分)に対する自己評価」です。自尊心は他者からの評価で高まったり、低下したりしますが、他者からの評価に左右される度合いが高い人ほど、属性や肩書を気にする傾向があります。つまり、“小ジジイ”とは、他者から評価されるため“だけ”に生きている残念な人たちなのです。
そんな小ジジイたちでも、全てを脱ぎ去り、“裸”で新入社員と向き合えば、「意識タカスギさん! オレ、絶対ついていきます」「口だけ番長さん! お父さんみたいで好きです」なんて、微妙な褒め言葉で慕ってくる若手が出てくるはずなのです。
関連記事
- なぜ日本のおじさんは怒ると「責任者を呼べ!」と騒ぐのか
街中を歩いていて、おじさんが「責任者を出せ!」と騒いでいるのを聞いたことはないだろうか。例えば、駅員に大声を出したり、コンビニの店員を叱ったり、とにかく日本のおじさんはよく怒っている。なぜおじさんは「責任者を呼べ!」と叫ぶのか、その背景を調べてみると……。 - 「定期的な異動が生産性を落としている」説は本当か
新年度がスタートした。新たな部署に配属されて、「うまくやっていけるかな」と不安を感じている人も多いのでは。4月に「定期人事異動」を導入しいている企業は多いが、このシステムは本当に効率的なのか。ひょっとしたら生産性を落としているかもしれない。 - 人の心を操る“社員”にご用心 彼らの手口を紹介する
巧みなワザを使って、人を振り回す“ホスト的社員”がいる。商談を有利に導くために、彼ら・彼女らはどのようなワザを繰り広げているのか。筆者の常見陽平氏が紹介する。 - 人事異動は“深読み”しなければいけない、これだけの理由
人事異動の季節である。「自分の上司は誰だ?」「あの人が出世するのか」といった話題がつきないかもしれないが、楽しんでばかりいてはいけない。人事異動を深読みすることで、自分の未来が変わるかもしれないからだ。どういうことかというと……。 - 就活生を悩ませる、おじさんたちの「個性」「人間力」という言葉
就活の時期になると必ず現れるのが、意識高く就活生にエールを送る「若者応援おじさん」や、就活や新卒一括採用を批判する「若者の味方おじさん」だ。前者はまだかわいらしい。ただ、後者は罪である。若者を何も救わないからだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.