なぜSUBARUは米国で伸びたのか マーケティング戦略の“真意”:キーワードは「LOVE」(2/3 ページ)
SUBARU(スバル)が米国で着実に成長している。販売台数は10年間で約3.5倍に。好調の背景に何があるのか。そのマーケティング戦略について、現地で探った。
「地域とのつながり」で共感を得る
スバルディーラーは全米に631店舗ある。訪れたのは、年間1600台を販売するニュージャージー州の店舗「WORLD SUBARU(ワールドスバル)」だ。この店舗を運営する自動車ディーラーチェーン、プライムオートモーティブのジョー・ヴァイダ氏は、「店との関係を、単なる取引関係ではなく、それ以上のものに感じてもらうことが重要」と説明する。
そのための取り組みの一環として、地域コミュニティーとつながる活動を実施している。チャリティーやボランティアなどに積極的に参加しているという。例えば、小児がん患者に対するチャリティー活動では、SOAが主導する活動(新車購入1台につき250ドルを寄付)に加えて、店舗独自でも寄付金を用意。合わせて25万ドル(約2700万円)を寄付した。
寄付文化が根付く米国では、チャリティーに力を入れることが地域との関係を深めることにつながる。その姿勢に共感する顧客も多いようだ。ヴァイダ氏はこの取り組みについて、「単なる店から、もう一歩上の存在になる」ためのものだと話している。
顧客との関係を深める取り組みには、愛車を通じて趣味などを主張してもらうツールもある。車に貼るバッジを無料で配布する「バッジ・オブ・オーナーシップ」という取り組みだ。SOAが10年から実施している。
バッジは、スバル車に何台乗ってきたかを示す数字と、趣味やライフスタイルなどを示すピクトグラム。車のリアに貼ることができる。ワールドスバルの駐車場でも、実際にバッジを貼っている車があった。
バッジは「Baseball」「Snow Sports」「Cooking」など、スポーツや趣味を示すものや、「Family」「Love」「Education」など、ライフスタイルや大切なものを示す絵柄もある。専用サイトを見たところ、現在53種類のバッジがあるようだ。
関連記事
- SUBARU、新型「フォレスター」をNYショーで世界初公開 SUV競争に攻勢
「ニューヨーク国際オートショー2018」が3月28日、米ニューヨークで開幕。SUBARUは、SUVの新型「フォレスター」を世界初公開。SUV競争が激化する北米で存在感を強める。 - 開発担当に聞く SUBARU新型「フォレスター」の個性
SUBARUの新型「フォレスター」が3月末、米国で初公開された。SUVの需要が伸びる米国市場でファミリーユーザーを取り込む。開発コンセプトやデザインについて、開発責任者とデザイン担当者に聞いた。 - 吉永社長「きちんとありたい」 SUBARU、経営陣刷新で信頼回復へ
SUBARUは3月2日、中村知美専務執行役員が社長に昇格する人事を発表。吉永泰之社長ら経営トップ4人が退任。吉永社長は代表権のある会長に就任する。経営体制を一新し、無資格者による完成検査などの問題にけじめをつける。 - 雪上試乗会で考えるスバルの未来
スバルは、青森市内から八甲田山、十和田湖を経由して安比高原までのコースを走るアドベンチャー試乗会を開催した。日本屈指の過酷な積雪ルートでスバル自慢のAWDを検証してくれというわけだ。 - 「インプレッサ」生産もスタート 好調でも手堅く 富士重の米国事業
富士重工業が最大市場の米国で自動車販売台数を伸ばしている。足元の新車市場には停滞感も漂うが、市場や在庫の状況を慎重に見極めながら現地生産を増やし、さらなる販売拡大を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.