激動のコーヒー市場で「ジョージア」はどう変わる?:「男性向けの缶コーヒー」からの脱却(1/2 ページ)
コーヒー市場がここ数年で大きく変化している。キーワードとなるのは「ちびだら需要」「カフェラテ」「ペットポトルコーヒー」。日本コカ・コーラの「ジョージア」ブランドはどのように変化するのか?
日本コカ・コーラが、「GEORGIA(ジョージア)」ブランドに力を入れる。コカ・コーラシステムは5月に小容量ペットボトルタイプの「ジョージア ジャパン クラフトマン」を発売すると発表した。これまでメインにしていた3シリーズ「エメラルドマウンテンブレンド」「ザ・プレミアム」「ヨーロピアン」に加え、小容量ペットボトルコーヒーにも手を広げる。
ジョージアブランドは、サントリー食品インターナショナルの「BOSS」と“2強”で市場をけん引している。かつては30〜40代の外で働くブルーワーカーを中心に支持されてきたブランドは、激動する市場の中で変化の時を迎えている。
「ここ数年で、コーヒーを取り巻く市場環境は大きく変わっています。コーヒーの人気が高まり、コーヒーを飲む人口が明らかに増えているんです」
そう話すのは日本コカ・コーラのマーケティング本部 コーヒーグループ シニアマネジャーの鈴木英里子さん。背景にあるのはカフェブームとコンビニコーヒーの台頭だ。「外で飲むコーヒー」といえば缶コーヒーだった時代から大きく変わり、今はシーンや役割が多様化しているという。
「今の若い世代は、缶コーヒーがスタンダードではなくなっています。カフェ、手入れのコーヒー、チルドカップ、コンビニコーヒー、ペットボトル――と、たくさんの選択肢がある状態で育ってきています。また、飲用シーンも、リラックス、気分転換、デスクワーク中の水分補給などさまざま。生活の中にさまざまな形でコーヒーが入り込んでいます」
カフェチェーンの盛況やコンビニコーヒーの盛り上がりは、缶コーヒーブランドに打撃を与えると見られがちだ。特に13年にコンビニチェーン大手のセブン-イレブンが「セブンカフェ」を開始し、大ヒットを記録すると、各方面から「コンビニコーヒーによって、缶コーヒーが苦戦する」と予想する声が上がった。
しかし鈴木さんは「むしろ結果的に、コーヒー市場全体が活性化する効果があった」と話す。全日本コーヒー協会によると、コーヒー消費量は16年まで4年連続で過去最高を更新。17年は数量ではわずかに減少したものの、消費者購入ベースでは2兆9000億円台にまで拡大した。
「確かに初年度は売り上げに影響がありました。ですがコンビニコーヒーによってこれまで飲んでいなかった層が『コーヒーって意外と飲みやすいんだ』『手軽に飲めるんだ』と入ってきて、市場が広がっていきました。そしてお客さまは、同じコンビニに置いてあるコーヒーでも、飲みたいものを“使い分けている”ということが分かってきた。ライバルではなく、共存共栄の関係になっているようです」
例えば、入れたてのものをすぐに飲みたいときはコンビニコーヒー。オフィスの机の上に置いて仕事の合間に飲むのはキャップ付きのボトル缶。おやつ時には小腹を満たす甘いチルドカップ。休憩時間の気分転換には缶コーヒーをぐいっと……。読者の方も、意識せずに買い分けている経験があるのではないだろうか。
「この“飲み分け”ができるのも、お客さまがコーヒーに対する知識をはっきりともつようになったから。選択肢が充実することで、これまでコーヒーを飲まなかった若年層と女性層という新しい層がコーヒーに親しむようになりました。女性の社会進出が進んでいることも追い風になっています」
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