激動のコーヒー市場で「ジョージア」はどう変わる?:「男性向けの缶コーヒー」からの脱却(2/2 ページ)
コーヒー市場がここ数年で大きく変化している。キーワードとなるのは「ちびだら需要」「カフェラテ」「ペットポトルコーヒー」。日本コカ・コーラの「ジョージア」ブランドはどのように変化するのか?
新たなユーザーと“エントリーモデル”としてのカフェラテ
市場の変化に合わせて、ジョージアブランドは新商品やリニューアルを展開してきた。好調なのが14年にリニューアルしたボトル缶の「ヨーロピアン」シリーズだ。コーヒー専門店の「猿田彦珈琲」が監修し、本格的な味わいを売りにしている。
「まだまだジョージア=エメマン(エメラルドマウンテンブレンド)というイメージがあり、“男性の缶コーヒー”と思っている方が多いです。ですが市場全体で缶コーヒーが低調で、エメマンも伸び悩んでいます。そんな中でブランド全体を支えるようになってきたのがヨーロピアンシリーズ。成長率が急速に伸びています」
女性から強い支持を得ているのがカフェラテだ。3月には「甘くないカフェラテもほしい」という声に応え、砂糖・甘味料不使用の「ヨーロピアン ビターカフェラテ」を発売。「コクがある」「ゴクゴクと飲みやすい」と好評を博している。
もともと、ボトル缶のカフェラテはコーヒー市場において新規ユーザー獲得の“エントリーモデル”のような位置付けになっている。コーヒー文化は盛り上がってきているが、まだまだ「いきなり微糖やブラックは買いづらい」「カフェチェーンではラテを買うが、コンビニでは買わない」という層は存在している。そんな人々が最初に手に取りやすいのが、ボトル缶タイプのカフェラテなのだ。
こうしたエントリーモデルとしてのカフェラテ(もしくはカフェオレ)を、コンビニなどで目にしたことがある読者は多いだろう。例えば伊藤園の「TULLY’S COFFEE BARISTA’S DEMITASSE」、UCC上島珈琲の「UCC BEANS&ROASTERS」なども好調だ。カフェラテを起点にして、新規層の獲得とブランド全体の知名度の向上を図っている。
ペットボトルコーヒーという“新しい波”
2017年には、業界が激震する“事件”もあった。サントリー食品インターナショナルが4月に「CRAFT BOSS(クラフトボス)」を発売し、初年度で販売数量1000万ケース(2億4000万本)を売り上げた。中容量ペットボトルタイプのコーヒーは各社が挑みつつも、定着しなかった“難所”。コカ・コーラも検討してはいたものの、さまざまな調査の結果「缶コーヒーユーザーが求めているのは、コーヒーのコク。コクを表現しにくいペットボトルはウケない」と考えられてきた。
しかし「クラフトボス」が取り込んだのは、「コーヒーは苦手」「普段は無糖のお茶や水を飲んでいる」という新たな層。デスクワーカーの“仕事中に少しずつ、水分補給のために飲みたい”という「ちびだら飲み」にもマッチした。異例ともいえる大ヒットを受け、伊藤園や各社はペットボトルタイプのコーヒーを発売した。コンビニの棚にも、ペットボトルコーヒーのコーナーができるようになってきた。
コカ・コーラが5月に全国発売するペットボトルの「ジョージア ジャパン クラフトマン」(一部流通では4月23日に先行発売)も、急速に拡大するペットボトルコーヒー市場の波に乗った商品だ。
「後味がスッキリとしたゴクゴク飲めるコーヒーとカフェラテで、これまでのジョージアブランドのファンより、より若い層や女性をターゲットとした商品です。開発期間はタイトでしたが、試作品や調査を重ね、自信を持って送り出しています。『職人の手入れ』を想起させるエンボス(浮き出し)加工など、味だけではなくボトルのデザインにもこだわっています。これまでジョージアを選んでいなかったお客さまに飲んでいただきたいですね」
デスクワーカーの机の上にも、大学生のカバンの中にも、日常の食卓にも入り込むようになったコーヒー。18年春のCMやキャンペーンは、シリーズごとではなく、ジョージアブランド全体をアピールするものを展開している。コーヒー市場の拡大の中で、改めてジョージアブランドのラインアップの豊富さという強みをアピールし、ブランドのファンを増やす狙いだ。
「ジョージアは、働く人との関係性が非常に密接なブランドです。さまざまな年代の男女に好んでいただける商品を通じて、あらゆる人を応援していきたいと考えています」
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