JRの“大回り乗車”で房総半島1周 海を眺めて名物駅弁を食べる:杉山淳一の「週刊鉄道経済」GW特別編(6/7 ページ)
JRの大都市近郊区間のみを利用する場合の「特例」を利用して、大回り乗車を楽しむ旅。今回は房総半島方面に向かう「海編」。
時刻表トリックを思い付く、しかし……
君津駅の到着は午後3時37分。発車は3時58分。なんと21分も停まる。特急さざなみに先を譲るためだけど、時間調整の意味もあるようだ。「お急ぎの方は、15時39分発の快速、久里浜行きをご利用ください」というアナウンス。それじゃあ、と久里浜行きに乗り換えて、ふと思った。先行する久里浜行きに乗ると、木更津に20分前につく。ここで降りて駅弁を買えば、20分後の同じ列車に戻れる。つまり、木更津駅で駅弁を買う時間ができた!
これは素晴らしいアイデアだ。まるでミステリー小説の時刻表トリック。犯人が木更津駅で買えないはずの駅弁を買っていた。どうやって……。と、1人盛り上がったけれど、木更津駅に駅弁屋さんはなかった。あれ、ここは名物のバーベキュー弁当があったはず。調べると、駅前のお店で販売しているらしい。改札口の外か。買えない。トリック不成立。残念だ。
千葉行きの電車で千葉まで行くと「同じ駅を2度通れない」というルールに反してしまうから、蘇我駅で京葉線に乗り換える。蘇我は外房線と内房線が分岐する駅。京葉線の終点。千葉県では千葉駅に次ぐ規模の分岐点だ。発車メロディはサッカーのジェフユナイテッド市原・千葉のオフィシャルソングで、心弾むような明るい曲だ。
京葉線快速電車の東京行き。そろそろ「帰り道」という気分になっている。蘇我を発車するときはガラガラに空いていたけれど、幕張メッセの最寄り駅、海浜幕張でイベント帰りの人々がたくさん乗ってくる。舞浜からも、遊園地帰りの家族連れが多数。高架線から海が見える路線だけど、この混雑ではカメラを出さない方が良さそうだ。
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