センベロの王者 「晩杯屋」急成長のワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(前編)(1/4 ページ)
わずか10年弱で東京を代表する立ち飲みチェーンに成長した「晩杯屋」。お酒とつまみ3品程度で1000円以下という低価格が支持されているが“センベロの多店舗化”に成功した背景には何があるのだろうか?
2017年7月、丸亀製麺を展開するトリドールホールディングス(HD)は、立ち飲みチェーン「晩杯屋(ばんぱいや)」を運営するアクティブソース(東京都品川区)を買収すると発表した。晩杯屋は1000円でべろべろに酔える低価格「センベロ」居酒屋として、台頭が目覚ましい。晩杯屋は東京を代表する立ち飲みチェーンだが、最近は座れる大衆居酒屋タイプの店も増えている。
16年に13店を出店し、17年も10店を新規出店して急成長中。絶好調と見られていただけに、なぜM&Aに応じたのか。事業承継に悩んでいたようにも見えず、首をかしげる外食関係者も多かった。
今回は、立ち飲みブームで注目を浴びる晩杯屋が急成長した要因と、自力での成長をあっさり諦めた背景を分析していきたい。
低価格が支持される
アクティブソースが運営する店舗数は18年4月時点で39店(新業態の低価格ステーキ「べこ太郎」2店を含む)で、18年になってから既に4店を新規オープンしている。そのうちFC(フランチャイズ)は8店となっている。
年商は12億9600万円(17年8月実績)。16年8月での実績は9億円なので、前年比で44%伸びている。顧客単価は立ち飲みが1300円で、座れる店は1800円だ。
09年に、東急目黒線の武蔵小山駅前に1号店を出店。煮込み、ポテサラ、刺身、アジフライ、納豆オムレツなど、おつまみの大半を100円〜200円前後で提供しており、低価格が顧客に支持されている。
お酒は、生ビールが410円(税込み、以下同)で、チューハイや日本酒は250円からある。出数ではチューハイ・サワー類が一番売れている。
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