「通信とライフデザインの融合」目指すKDDI、18年3月期は増収増益:「ピタット」「フラット」好調
KDDIの2018年3月期の連結決算は増収増益だった。通信事業のほか、電力・金融など「ライフデザイン事業」も好調。今期は高橋誠社長率いる新体制で、3カ年計画の達成を目指す。
「通信とライフデザインの融合を進める」。KDDIの高橋誠社長は5月10日開いた2018年3月期の決算会見で何度も強調した。高橋社長は4月上旬の社長就任会見でもこのフレーズを繰り返し使っており、通信事業と物販・電力・金融など「ライフデザイン事業」の連携を強化したいとの意気込みがうかがえる。
2018年3月期は増収増益
KDDIが発表した2018年3月期の連結決算は、売上高が5兆420億円(6.2%増)、営業利益が9628億円(5.5%増)、最終利益が5725億円(4.7%増)だった。
主力の通信事業でモバイル通信料収入が向上したほか、ライフデザイン事業の好調により、au契約者1人当たりの通信料金を除く売り上げを指す「付加価値ARPA」が伸長したことが増収増益に寄与した。
高橋社長は「『ライフデザイン事業を強化する』と話すと、『通信事業からシフトするのか』と疑念を持たれることが多いが、そうではない。あくまで通信事業を中心に置き、auユーザーに複合的なサービスを提供することで成長したい」と説明する。
「ピタット」「フラット」好調
セグメント別では、通信事業を含む「パーソナルセグメント」の売上高が3兆6330億円(7.3%増)、営業利益が7329億円(3.1%増)だった。
格安SIM事業者への流出に歯止めをかけるため昨年7月に始めた「auピタットプラン」「auフラットプラン」が人気を獲得。4月8日には累計700万契約を突破し、解約率の低下に大きく貢献した。
サブブランド「UQ mobile」などのMVNOとauブランドを合わせた契約者数は1.8%増の2647万件。au契約者は45万件減(-1.8%)の2469万件にとどまったが、MVNO契約数が前年比2倍超の177万件に拡大。高橋社長は「MVNO収入が『ピタット』『フラット』両プランによる影響をカバーした」と説明する。
高橋社長は「今後はさらなる解約率向上と平均契約期間の長期化を図り、auの通信ARPA(1人当たりの通信料)を拡大したい」と方針を説明した。
「au経済圏」売上高は5600億円
ライフデザイン事業を含む「バリューセグメント」の売上高は5217億円(15.7%増)、営業利益は1040億円(8.4%増)。「付加価値ARPA」が15.7%増の590円に伸びたほか、決済事業では「au WALLETカード」の有効発行枚数が340万枚を突破。「au WALLET決済」の流通金額が3月に1億円を超えるなど好調だった。
飲食店の割引サービス「三太郎の日」などを提供するauユーザー向け会員プログラム「auスマートパスプレミアム」の会員数が伸び、3月に400万会員を突破したことも成長に寄与した。
高橋社長は、田中孝司前社長体制では公開していなかった「au経済圏(パーソナルセグメントの教育事業などを含む、通信事業を除くビジネスの総称)」の売上高が5600億円に上ったことも発表。19年3月期には30%増の7300億円に拡大する見込みという。
5G、IoT強化で計画達成へ
19年3月期の連結業績予想は、売上高が5兆1500億円(2.1%増)、営業利益が1兆200億円、最終利益が6200億円(8.3%増)を見込む。
高橋社長は「今期は田中前社長から引き継いだ3カ年計画の最終年に当たる。5G(第5世代移動体通信技術)、IoT(モノのインターネット)などを強化するほか、ファンドによるベンチャー企業への投資なども積極的に行って目標を達成したい」と話している。
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