2015年7月27日以前の記事
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「グーグルには売らない」 日本勢は音声翻訳で覇権を握れるか東京オリンピックに向け開発競争「激化」(4/5 ページ)

音声翻訳の技術は向上し、2020年の東京オリンピックまでには多くの場所で手軽に使えるようになりそうだ。日本勢がグーグルやマイクロソフトに打ち勝って、音声翻訳の市場で覇権を握れるかどうかが今後のカギとなる。

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「グーグルには売らない」

 音声翻訳の研究は日本国内にとどまらず、世界中の優秀な研究者が最新のAI技術を駆使して実施している。米国のグーグル、マイクロソフト、中国のテンセント、大学では米国のカーネギーメロン大学(CMU)、中国の清華大学などが先進的で、競争は激しい。中でもAIを活用したディ−プラーニング(深層学習)に関しては欧米や中国が先行する。

 NICTが開発した音声翻訳アプリを海外のプレーヤーに販売することには、開発した技術を使いたいという海外の会社があれば技術移転にも応じる意向であるものの、グーグルに売ることに対しては否定している。かつて日本にあった高性能の検索エンジンがグーグル検索によりなくなってしまったように、グーグルに飲み込まれてしまうことを懸念しているのだ。貴重な情報処理ノウハウを全面的に外国に譲り渡すのは危険とNICTはみている。

 この音声アプリを世界に普及させるためには、「グーグル翻訳」に組み込んだ方が手っ取り早いという見方もある。だが、国立の研究機関がせっかくオールジャパンで開発した最高レベルのアプリだけに、グーグルには渡したくないようだ。日本独自で開発した技術だけに、まずは日本のメーカーに製品化してもらいたいものだ。

 日本はAIそのものの開発では出遅れているが、AIの最新技術を組み込んだ端末製品においては、得意とする小型化や軽量化技術を生かすことができる。世界的な海外旅行需要の増加によって、通訳への需要は拡大傾向にある。その中で、世界最高水準の、簡単にはマネできない音声翻訳アプリを製品化することができれば、この市場で優位に立てる。

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グーグルも音声翻訳の研究にしのぎを削る(「グーグル翻訳」の画面)

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