良いことばかりではない リモートワークの“実態”:働き方改革の第一歩(2/4 ページ)
働き方改革の柱として注目されている「リモートワーク」。制度として導入する企業も増えており、政府も躍起になって推進している。ただし一方で、リモートワークを導入したことで見えてきた課題もあるという。
リモートワークを導入するのは決して容易ではない
それでは、実際にリモートワークの制度を導入するにあたり、上述に紹介した企業では何がハードルになっただろうか。
日本ヒューレット・パッカードでは、リモートワーク制度を機能させるためには、オフィスエリアをデジタル化する総務的な戦略や、会社以外のリモートで仕事ができるようにするIT戦略、加えて、家でする仕事の進ちょくを管理するための評価制度などの人事戦略が必要だと指摘している。
一口にデジタル化と言っても、企業にとっては大きな改革が必要だ。SCSKでは、大規模な「ペーパーダイエット(ペーパーレス化)」に取り組んだ。
例えば、会議で紙資料を配布するために、会議のある日はリモートワークができなくなるように、印刷された資料は、働く場所を限定してしまう原因の1つになる。同社では大型モニターを会議室に導入してそこに資料を表示させ、マイクとスピーカーも設置してリモートで会議参加できるようにした。さらに印刷枚数50%削減、保管資料の50%削減を目標にペーパーレス化を進め、保管量を削減したことで収納キャビネットも減らした。社員が紙資料を保管するための袖机(サイドキャビネット)もすべて撤去したという。
IT戦略としては、社外でも問題なく業務を行うためには、VPN接続を暗号化通信で社内環境にアクセスできるセキュリティ運用が必要になる。オフィスのみでの利用が定められているようなデータにアクセスするためには出社しなければならない。
さらに、リモートワークでは勤怠がばらついたり、サボリが発生したりするのではないかという懸念がある。上述のクラウドサービスを中心に、リモートワーク社員とのコミュニケーションは、おおむねチャットやメールなどの非同期な手段に依存することになるため、連絡が返ってこないと不安になる管理職も多いようだ。
リモートで働く側も、「早く成果を出さないとサボっていると思われる」という意識から、かえって働きすぎにつながってしまうケースも目立つ。
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