なぜパタゴニアはトランプ大統領に「宣戦布告」したのか:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
米アウトドア用品大手パタゴニアのマーカリオCEOがトランプ政権について「最低だ」「信じられない」と発言し、話題になった。なぜ対立しているのか。背景にある、米国の企業文化とは……
先日、米アウトドア用品大手パタゴニアのローズ・マーカリオCEOがオレゴン州のITカンファレンスに登場した。
そこでマーカリオCEOは、トランプ政権について「最低だ」「信じられない」と発言し、メディアでも話題になった。というのも、今パタゴニアはドナルド・トランプ大統領とライアン・ジンケ内務長官と「戦争状態」にあり、マーカリオCEOの発言は注目されていたからだ。
なぜパタゴニアは、トランプ政権と対立しているのか。
実は、パタゴニアはトランプ大統領を提訴している。人気アパレル企業が国を訴えるとは穏やかではないが、その背景には米国の企業に見受けられる活動主義(アクティビズム)がある。トランプのケースから企業の活動主義を見ていくと、アクティビズム的な動きが今後、ビジネスに重要になってくる可能性が見えてくる。
まず、トランプはいったい何をしでかしたのか。
日本でも人気の高いパタゴニアは、そもそも環境保護の旗手として、米国ではよく知られている活動主義的な企業だ。
これまでも環境問題を提起するような話題を振りまいてきた。例えば、2011年に自社のフリースを「購入するな」というキャンペーンを張って話題になったり(洋服を作るのにも温室効果ガスを排出するから)、16年には米国のクリスマス商戦の初日となる「ブラックフライデー」の売り上げの全てを環境保護活動をする団体に寄付したこともある。
また1985年から、年商の少なくとも1%を環境団体などに寄付しており、現在までにその額は9000万ドルほどにもなっている。
パタゴニアの公式サイトを見れば、自分たちが「アクティビスト企業」であると喧伝(けんでん)しているのが分かる。「私たちは、環境危機が重大な転換点に来ていると考えている。温室効果ガス排出を減らし、きれいな水や空気を守り、(環境によくない)汚れたテクノロジーを捨てるといったコミットメントがなければ、人類全体が、地球の自浄能力を破壊してしまうだろう」と主張する。
そして18年2月には、環境問題の情報交換ができるプラットフォーム「パタゴニア・アクション・ワークス」を立ち上げている。
過去40年にわたって環境問題を提起している筋金入りの企業だけに、相手が誰だろうと間違っていると思う相手には立ち上がる。それが米大統領であってもだ。
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