40歳の壁を乗り越えるために、どうすればいいのか 「謙虚」のススメ:常見陽平のサラリーマン研究所(1/3 ページ)
仕事をしていると「マンネリ」を感じることはないだろうか。「昨日も今日も、そしてずーっと同じことをしなければいけないのか」と考えるだけで、嫌になるもの。そうした悩みを抱えている人は、どのようにすれば現状を打破できるのか。
最近、SNSでよく見かける本がある。『フリーランス、40歳の壁――自由業者は、どうして40歳から仕事が減るのか?』(著・竹熊健太郎/ダイヤモンド社)である。タイトルが強烈だ。本を読んでいるのはフリーランスや編集者など、物書き業界の人が多く、SNS上では「自分も同じようなことで悩んでいる」といったコメントが目立つ。個人的に、ネット上の発言というのはあくまでポーズであり、実際はもっと深く悩んでいるのではないかと思っている。
本は、序章からズキズキする内容だった。著者の竹熊健太郎氏は80年代前半からフリーランスで活躍。相原コージ氏との『サルまん サルでも描けるまんが教室』(小学館)が代表作で、ベストセラーとなる。その後、マンガ原作、ライターなどに携わり、2008年には京都精華大学の専任教授となるが、15年に退任。現在は電脳マヴォ合同会社を起業し、運営している。
このように書くとカッコよく聞こえるが、実際は試行錯誤、紆余曲折の繰り返しだ。脳梗塞で倒れたこと、警備員のアルバイトをしていたこと、発達障害を告白したこと、多重債務者に陥っていたことなど、いちいち衝撃的だ。
身もフタもない失礼なことを言うが、筆者はこの本を読むまで竹熊健太郎氏のことを知らなかった。代表作についても知らなかった。フリーランスと聞くと、「お気楽でいいよね」「自由に働くことができていいね」と思われるかもしれないが、多くの人が「消費」されていくのだ。
筆者も著者デビューして11年が経ち、これまで商業出版で約40冊出し、50万部売ってきた。メディア出演も連載も多数あり、最近は国会や官庁の委員会に参考人として呼ばれるようにもなった。でも、いまだに「常見陽平って誰?」という感じである。
デビューの時期は、評論家の荻上チキ氏やライター・編集者の速水健朗氏と同じだった。批評家の宇野常寛氏よりも早い。言うまでもなく、彼らのほうが売れているし、知名度も高い。ただ、やや失礼な話になるが、彼らクラスでも全国区の知名度とは言えないだろう。読者の中にも「誰それ?」と感じた人もいるのではないか。物書きの世界は残酷なのだ。
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