JR北海道の“大改造”構想 「新・新千歳空港駅」「ベースボールパーク新駅」:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/6 ページ)
新幹線札幌駅が決着したJR北海道に新たな動きがあった。北広島市のベースボールパーク新駅構想に引き込み線方式の大胆案、新千歳空港駅も大改造構想が立ち上がる。JR北海道だけではなく、北海道全体にとっても良案だ。
国の支援策はどうか
日本経済新聞5月11日の報道によると、JR北海道に対する国の支援策について、国土交通大臣は「今年夏をめどに大まかな方向性をまとめる」と明言したという。ただし、支援策を得るためには、JR北海道の自助努力、経営見通しの開示が必要だという。
JR北海道については「低金利による経営安定化基金運用益低下に国の支援が足りない」「厳寒地の過酷な保守費用が補填(ほてん)されていない」など、国に対する批判がある。しかし、経営安定基金の金利についてはJR九州、JR四国も同じ条件であったし、厳寒地の保守費用に対して、JR九州の災害対応費用とのバランスも考慮すれば、やはり経営努力で吸収せよ、という見方もあるだろう。
ただし、北海道新幹線が赤字を計上している部分については、国にも責任があるのではないかと思う。赤字になる鉄道路線を建設して鉄道会社に押しつけるという手法は、国鉄末期の地方交通線建設のやり方を想起させる。新幹線と在来線の違いはあれども根っこは同じ。新幹線網が拡大したいま、ドル箱路線だけではなくなっている。
新幹線建設の枠組みの見直し、収益線の提供と合わせる形で、JR北海道の経営基盤安定策を考える必要がある。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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