アタリの店はどこ? サラリーマンが愛する「立ち食いそば」事情:土曜インタビュー劇場(かき揚げ公演)(2/5 ページ)
ランチや仕事の合い間に「立ち食いそば店」に入ったことがある人も多いのでは。「アタリ、ハズレが大きい」なかで、どこがオススメなのか。雑誌『極上 立ち食いそば』の編集者に、アタリの店を紹介してもらった。
「十割そば」が320円!
土肥: 平日の昼、都内の中心部にある「立ち食いそば」を見ると、たくさんのサラリーマンが食べていますよね。「安いから」「速いから」といった理由で、のれんをくぐっている人が多いと思うのですが、残念ながら「おいしいから」と答える人は少ないかもしれません。いや、おいしい店もあるのですが、おいしくない店もある。立ち食い店には「アタリ、ハズレが大きいなあ」という印象があるのですが、なぜそのように感じるのか。その最大の理由は、そば粉の割合にあると思っているんですよね。
芳賀: 以前の私も「立ち食いそばって本当においしいの?」と思っていました。正直、おいしいイメージがなかったので、あまり食べていませんでした。ただ、取材をしていくなかで、「いや、そうでもないぞ。おいしいところもあるぞ」といった考えに変わりました。なぜ、そのような考え方をするようになったのか。おいしくない要因として、ドイさんは「そば粉の割合」を指摘されていましたが、立ち食いそばのなかには「十割そば」を出しているところがあるんですよね。
土肥: そば粉の割合を高くすれば、「十割」も「二八」も提供できますよね。ただ、小麦粉と比べて、そば粉の価格は高いので、立ち食いそばの「十割そば」は1000円ほどするのでは?
芳賀: いえ、320円(税込)です。
土肥: ええ! ワンコインでお釣りが戻ってくるとは。
芳賀: 「蕎麦 冷麦 嵯峨谷 歌舞伎町店」(新宿区歌舞伎町1-16-2 富士ビル 1F)の入口付近には電動石臼機があるんです。つまり、石臼挽きの十割そばを320円で食べることができるんですよね。それにしてもなぜこの価格でやっていけるのか。通常の粉で仕入れるよりも、抜き実(そば殻を取り除いた実)の状態で安く仕入れているのではないか。だから、この価格でやっていけるのだと思います。
とはいえ、「320円なので、そんなにおいしくないのでは?」と思っていましたが、実際に食べたところびっくりしました。そばは平打ちで幅が広い。しっかりとした歯ごたえで、そばの香りを感じることができる。最近は、押し出し式の製麺機が普及していて、立ち食い店で十割そばを提供するところが増えてきているんですよね。そのなかでも、「蕎麦 冷麦 嵯峨谷」は一番安い。……たぶん。
土肥: 「たぶん」って、どういう意味でしょうか?
芳賀: 立ち食いそばは、首都圏だけで2000店ほどあると言われているのですが、実態がよく分からないんですよね。取材をしてみても、ネット上に掲載されていない店がたくさんある。口コミサイトにはすべての飲食店が掲載されていると思われているかもしれませんが、立ち食いそばについては、店名は載っていてもどんなメニューが提供されているのか、よく分からないところがたくさんあるんです。ということもあって、「たぶん」と言いました。
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