本当に、ATMで硬貨を取り扱う必要があるのか:再考の余地(1/3 ページ)
厳しい経営環境を迎えている金融機関のコスト削減の対象の1つがATM。本当に今のような高機能、特に硬貨の取り扱いが必要なのだろうか。メガバンクによる共通化を機に、再考の余地はありそうだ。
厳しい経営環境を迎えている金融機関のコスト削減の対象の1つがATM。本当に今のような高機能、特に硬貨の取り扱いが必要なのだろうか。メガバンクによる共通化を機に、再考の余地はありそうだ。
日銀のゼロ金利政策が長期間にわたり続いてきたことで、その最大の副作用として国内銀行の貸し出し業務での収益悪化が指摘されて久しい。金利のさやが縮小している状況下で、各行が限られた優良貸出先への低金利競争に走るためである。メガバンクの新卒採用の大幅縮小、地方銀行の業績悪化(福島銀行では7期ぶりの赤字決算が出た)など、同じ文脈である。
そんな中、この5月には3メガバンクが現金自動預払機(ATM)の開発や管理を共通化する検討に入ったと報じられた。ATMの機器費用やメンテナンス費用を軽減化させることが目的である。もともと日本のATMの機器コストは海外に比べ割高とされてきた。
機能的には、現金の預け入れ、各種の現金引き出し、残高照会、通帳記入・繰越が基本で、金融機関によってそれ以外にもさまざまな機能が付加されている。そのため紙幣、通帳、磁気カード以外にも硬貨や帳票類などを扱うタイプが主流のようである。
しかしこうした高機能、とりわけ硬貨の取り扱いについては本当に必要なのか、今回のメガバンク3行での共通化をよい機会として考え直すべきであろう。
元々運搬が困難なことや紙幣に比べて故障が発生しやすいためもあって、一部のATMでは硬貨を取り扱っていない(無人店舗やコンビニATMなど)。そもそも硬貨を識別・保管するためのメカニカルな構造を持てば、機器代は割高にならざるを得ない。
であれば、いっそのこと共通仕様のATMでは硬貨取り扱い機能をなくしてしまい、その分だけ機器代を大幅に安くしてしまうことはできないだろうか。厳しい環境にある金融機関にはこうした割り切りの発想があってもよいのではないか。
関連記事
- メガバンクのATM共通化、「具体的な協議が進んでいるという事実は確認できていない」
メガバンクがATM共通化の実証実験を始める――5月11日に一部の報道機関が報じた内容について、三菱UFJ銀行の広報部はITmediaビジネスオンラインの取材に対し、「具体的な協議が進んでいるという事実は確認できていない」と答えた。 - ビットコインを売却するべき4つの理由
ブロックチェーン技術は素晴らしく、仮想通貨は流行しているが、それはビットコインに未来があることを意味しているわけではない――TheStreetが、「いまビットコインを売却するべき4つの理由」を紹介した。 - 日本経済新聞、Amazonで定期購読 大手紙で初の試み
日本経済新聞がAmazonで定期購読の販売を開始。大手の日刊全国紙がAmazon上で定期購読を受け付けるのは初の試み。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.