関西ローカルなのに知名度は全国区 「551蓬莱」が成長続ける理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)
関西を中心とした2府4県に出店している551蓬莱。名物の豚まんがおみやげとして支持され、現在も成長を続けている。関西ローカルな企業なのに知名度は全国レベルだ。人気の秘密とは?
大阪みやげの「豚まん」で名高い「551蓬莱」。新幹線に乗り込む前に買い求めるお客が引きも切らず、JR新大阪駅の売店には行列が絶えない。
551蓬莱を運営する蓬莱(大阪市)の本店は大阪・ミナミの戎橋筋(えびすばしすじ)にあり、店舗は近畿の2府(大阪、京都)、4県(兵庫、滋賀、奈良、和歌山)にある。店舗数は58店で、百貨店、ターミナル駅、空港に集中的に展開している。それ以外の地域には店舗がないにもかかわらず、知名度は今や全国レベルになった。
香ばしい食感がウケて、1日に販売する豚まんの数はなんと平均17万個に上る。2017年には1日平均15万個を売ると公式発表していたので、最近売れ行きがさらにアップしていることになる。
今回は、551蓬莱が今なお人気を保っている秘訣に迫ってみたい。
レストランも経営
「新幹線の座席で食べるのはにおいがこもるのでけしからん」「豚まんテロだ」などと、過敏な反応をする人がいる一方、「新幹線で食べて何がいけない」と反論する人もいて、「におい論争」が絶えないが、実際には豚まんの香ばしき誘惑に抗しきれず、購入する人が増え続けている。
豚まん以外にもシューマイや直営レストランで提供している海鮮焼きそばも人気で、関西では地元に密着した日常使いの店として浸透している。蓬莱は本店を含め4店の中華レストランを大阪市内に有しており、テークアウトだけの展開ではないのだ。最近は店内で食事ができるイートインも増えている。
駅や空港にある店舗では年末年始、ゴールデンウイーク、お盆に販売額が跳ね上がる傾向が顕著で、おみやげ用途が主流だ。
屋号の数字「551」は、台湾出身の創業者である故・羅邦強(ロー・パンチャン)前会長が愛用していた外国製の555(スリー・ファイブ)という外国製のタバコに由来する。数字ならば万国共通で誰にでも親しみやすいのではと考えた。当時、本店の電話番号の下3桁が551だったことに注目し、“ココがイチばん”と読むことにした。「味もサービスも“ココがイチばん”を目指そう!」という意味合いを込めて、551蓬莱の屋号が誕生した。
“蓬莱”の漢字だけでは硬い印象を与えるだけでなく、漢字圏の日本人や中国人にしか通用しない。かといって、横文字にしてしまえば日本人に親しまれない。世界を目指すなら数字を使おうという発想だったのだ。今日、難波(なんば)駅に近い本店には、多くの外国人観光客が訪れ、551蓬莱の豚まんを購入している姿を見るが、同社にはそれだけ先見の明があったということだろう。
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