こんなにあった! 誤解だらけの「フリーアドレス」:あなたの職場はどうですか?(5/5 ページ)
働き方改革の一環として導入を検討する企業も多いフリーアドレスだが、「決まった席がなくなるんでしょ?」などと分かった気になっている人が意外と多い。まだまだフリーアドレスに対する誤解ははびこっているのだ。
全社員の協力なしには成果も出ない
最後に、フリーアドレス導入にともなう管理職にありがちな意見について。「自分の席がなくなるのは淋しい」「部下の管理がしにくい」といった声は多く聞かれる。
長年、管理職は部下を見渡すように座り、役職が上がると管理職に近い机に移っていくという従来型のオフィスで仕事をしてきた。その机がなくなるのは、自分が勝ち取ってきたものを奪われるように感じてしまうかもしれない。いちいち私物をロッカーにしまうのは面倒だし、「学生か?」などと愚痴の1つも言いたくなるだろう。
部下が1カ所に集まっているとは限らないので、あちこちに声をかけなくてはならないし、部下の顔が見えないから、声や顔で調子を判断したり、タイミングよく注意したり、励ましたりすることもしにくくなる。
まずはフリーアドレスがもたらす新しい価値、良い面にも目を向けよう。「自分の席がなくなる」のではなく、「気分や用途に応じて働く場所を選んでいい」と思えばいい。何よりも、フリーアドレスを導入した多くの企業が、管理職が率先してフリーアドレスに対応することこそ成功への鍵だと語っている。管理職は自分がキーパーソンになるという自覚をもってフリーアドレスに臨むべきである。中途半端なフリーアドレスでは、その成果を十分に上げることができないからだ。
部下の側も、「上司の前でがんばる自分」をアピールすることができず、成果で評価されるようになる。新しい制度に戸惑い、迷うのは、管理職も部下も変わらない。
新しい環境で実際に働くのはあなた自身。あなたの会社がフリーアドレスを導入するということになったら、ぜひ先入観やとまどいを捨てて臨んでほしい。
(アスクル「みんなの仕事場」運営事務局)
関連記事
- 良いことばかりではない リモートワークの“実態”
働き方改革の柱として注目されている「リモートワーク」。制度として導入する企業も増えており、政府も躍起になって推進している。ただし一方で、リモートワークを導入したことで見えてきた課題もあるという。 - なぜメルカリはホワイトな労働環境をつくれるのか?
メルカリの福利厚生がホワイトすぎると話題だ。多くの日本企業は働き方改革を実践するため、残業時間の規制などに躍起になるが、根本的な誤解も多い。メルカリの取り組みを知ることで働き方改革の本質が見えてくるはずだ。 - 経理がAIに乗っ取られる、は本当か?
AIの台頭によって失う仕事として、よく「経理」が挙げられる。しかし、長年経理の業務に携わってきた筆者は「そんなことはない」と言う。そのわけとは……? - 日本郵政、正社員の手当削減はタブーなのか
日本郵政グループが正社員のうち約5000人に対する住居手当を2018年10月から段階的に削減し、最終的には廃止することを決めた。背景には「同一労働同一賃金」の考え方がある。今回の郵政グループの対応はどう評されるべきだろうか。 - コニカミノルタ常務を直撃 「副業解禁に踏み切った理由」
コニカミノルタが「副業解禁」に踏み切った背景と今後の目指す姿について、常務執行役の若島司氏に話を聞いた。 - 電通が月1で「週休3日」 “ポジティブ心理学”応用して社員の健康把握
電通は週休3日制を毎月1回、試験導入する。また、同社が独自に開発したシステムで従業員の健康把握を進めていく。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.