こんなにあった! 誤解だらけの「フリーアドレス」:あなたの職場はどうですか?(4/5 ページ)
働き方改革の一環として導入を検討する企業も多いフリーアドレスだが、「決まった席がなくなるんでしょ?」などと分かった気になっている人が意外と多い。まだまだフリーアドレスに対する誤解ははびこっているのだ。
誤解11:「あちこち移動するのは時間の無駄」という誤解
人間が本当に集中できる時間は、数秒、15分、1時間などさまざまな説があるが、いずれにせよ、何時間も集中を維持することは難しいとする点で一致している。仕事の効率を維持するためには、定期的なリフレッシュが必要になる。
フリーアドレス導入企業の中には、短い距離の移動こそがリフレッシュにつながると奨励しているところもある。執務スペースとは異なる雰囲気の打ち合わせスペース、集中して仕事を進めるスペース、テレビ会議用のブースなど、目的に応じて移動することで集中を維持でき、仕事の効率が上がったという。
誤解12:「今どき、フリーアドレスはかえって遅れているのでは」という誤解
フリーアドレスの考え方が生まれたのは30年以上前の1980年代だが、着実に進歩している。上述したように、90年代のコスト削減用としての制度から、2010年代には業務改善手段にまで進化しているのである。
さらに近年は、フリーアドレスの考え方をさらに推し進めた、ABW(Activity Based Working)という考え方が生まれている。従来のフリーアドレスが「席を選ぶ」仕組みだとすれば、ABWは「仕事の内容に合わせて働く場所を選ぶ」という考え方である。
集中して1人で仕事をしたいとき、コラボレーション作業をしたいとき、テレビ会議を行いたいときなど、それぞれの仕事の内容に合わせたスペースを用意し、仕事の内容に合わせて最適な場所を選択して仕事をすることで効率を上げるのがABWの仕組みだ。
使用するツールが多い業務は席を固定する必要があるから、フリーアドレスには向かないと言われていたが、もしそれが常時使わない設備であれば、共有化した方がメリットは大きい。しかも、前述したように移動はリフレッシュにもなり、仕事の効率化にもつながる。導入前に業務の傾向を綿密に調査して、必要なスペースを割り出し、うまく機能させれば成果も大きい。ABWは確実にフリーアドレスの新しい潮流となりつつある。
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