こんなにあった! 誤解だらけの「フリーアドレス」:あなたの職場はどうですか?(3/5 ページ)
働き方改革の一環として導入を検討する企業も多いフリーアドレスだが、「決まった席がなくなるんでしょ?」などと分かった気になっている人が意外と多い。まだまだフリーアドレスに対する誤解ははびこっているのだ。
イマドキのフリーアドレス 制度導入編
誤解7:「どこに座ってもいいと言われても困る」という誤解
フリーアドレスを導入してうまくいかなかった例として、よく言われることが、導入したものの、同じ場所に同じ顔ぶれが固まってしまうということである。結局は意識の持ちようなのだが、切り替えが難しいポイントであることは間違いない。
毎日の席決めをシステムに任せて乗り越えた企業も多い。その日の仕事内容について簡単な質問に答えると、集中しやすい席、会話が許可されている席など、仕事に適した空席を教えてくれるシステムなどがある。
また、すべての席を完全にフリーにせず、職種や部署でゾーン分けして、座るスペースをある程度限定する、ゆるやかなフリーアドレスの例も多い。
誤解8:「毎日、キャスター付き引き出しを押してあちこち移動する」という誤解
フリーアドレスというと、個人の収納スペースはキャスターがついた移動式引き出しだけで、その日の席に合わせて、その引き出しをあちこち移動しなければならない、というイメージを持っている人も多い。
実際には、最近は引き出しも個人には支給されないオフィスが増えている。ペーパーレス化を進めることで、個人ロッカーに切り替えているのだ。
私物や資料、PCなどはロッカーに入れ、机にはそのときの仕事に必要なものだけを出すというスタイルになる。身軽に移動できるし、作業スペースも有効に利用できるのでメリットが大きい。
誤解9:「広いコミュニケーションルームなんて無駄」という誤解
フリーアドレスを導入している多くの企業が、コミュニケーションルームを設けて、実際に有効活用している。これらのコミュニケーションルームを休憩所と勘違いしている企業も多い。実際には、予約なしで使える打ち合わせ用スペースと考えたほうが近いだろう。
オープンなコミュニティスペースを作ることで、予約のわずらわしさなく、柔軟に打ち合わせをできるようになり、オフィスの生産性を上げることができる。
誤解10:「部署によって仕事は異なるのだから、コミュニケーションは不要」という誤解
そもそも部署間のコミュニケーションを重視しないのなら、フリーアドレスを導入する意味はないわけだが、さて本当にそうだろうか。さまざまな新しい商品やサービス、価値が生まれては消える現代において、複数の担当部署の境界に位置するニーズを発見することは非常に重要であると言える。
既存の基準からはずれたジャンルに新しい仕事を発見したり、それを成果に結び付けたりするには、部署間のコミュニケーションと相互理解が欠かせない。精神論だけでなく、物理的にも部署間の壁を取り払ってくれるのがフリーアドレスなのである。
フリーアドレスを導入企業には、コミュニケーションを促進する有効性に気付き、さらにそれを強化しているところもある。ある企業では、フロアに置くゴミ箱の数をあえて減らし、社員がゴミを捨てるためにフロアを横切っていかなくてはならないようにした。他部署とのコミュニケーション機会を増大するのが狙いだ。
あるイベント制作会社では、複数の事業部間にまたがる仕事をスムーズに行うためにはどうするべきかという課題があった。例えば「展示会でカフェ付きのブースを出したい」とクライアントから依頼された場合、従来は、展示会のチームと飲食企画を得意とするチームでプロジェクトチームを組まなければならず、煩雑だった。そこで、事業部ごとに大まかなスペースを決めるゆるやかなフリーアドレスを導入したところ、互いの仕事内容についての理解が進み、部門間コラボレーションの効率が大幅に向上したという。
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