こんなにあった! 誤解だらけの「フリーアドレス」:あなたの職場はどうですか?(2/5 ページ)
働き方改革の一環として導入を検討する企業も多いフリーアドレスだが、「決まった席がなくなるんでしょ?」などと分かった気になっている人が意外と多い。まだまだフリーアドレスに対する誤解ははびこっているのだ。
イマドキのフリーアドレス 基礎知識編
誤解1:「フリーアドレスを始めたのは海外のIT企業」という誤解
フリーアドレスと言うと、米Googleなどのオフィスを思い浮かべる人が多いが、実は日本生まれだ。1980年代に、清水建設が技術研究所で試験的に導入したのが世界初と言われている。
誤解2:「フリーアドレスは狭いオフィスで済むように考え出された」という誤解
もともとの目的は、社員一人一人の作業スペースの拡大だったという。当時、日本の1人当たりの執務スペースは、欧米の水準に対して非常に狭かった。仮に在席率を50%とすると、フリーアドレスにすれば、一人当たりの机の広さは事実上2倍になるという発想だった。
誤解3:「フリーアドレスの目的はコスト削減」という誤解
90年代から2000年代にかけてのフリーアドレスの主目的は、確かにオフィスの床面積縮小による固定費削減だった。しかし、10年代以降のフリーアドレスは、コミュニケーションの促進、社員のモチベーションアップ、業務の効率化向上、意思決定の迅速化などを達成する業務改善手段という意味合いの方が強い。
誤解4:「フリーアドレスはオフィス全体をコンパクトにする手段」という誤解
今では、「小さくする」のではなく、「限られたスペースを有効活用する」という考え方が主流である。オフィスレイアウトの見直しによって余ったスペースに、コミュニケーションスペースや業務の効率化を図るための施設を設ける例が多いことからも、それが分かる。
誤解5:「フリーアドレス導入は在席率が低い部門が適している」という誤解
営業部などのように在席率が低い部署の方が導入しやすいのは事実だが、全員の行動スケジュールがほぼ同じでは、フリーアドレスの効果は出ない。昼間の在席率が低くても、夕方に業務報告のために一斉に帰社して、100%になってしまうような場合は、帰社しなくても報告・承認、勤怠管理ができるような仕組みの導入を、併せて検討したほうがいいだろう。
このため、実際には、在席率が高く、フリーアドレスにはそぐわないと思われてきた開発職や総務職、経理職でも、フリーアドレスを導入している企業が増えているのだ。総務がフリーアドレスになった場合、郵便物をどこで受け取るのかなどの疑問を持つかもしれないが、そういったことは受け取りボックスの設置などで十分対応できる。
在席率は1つの指標に過ぎず、仕事の仕方、効率化を検討していく上での一要素になっているのである。
誤解6:「フリーアドレスはおしゃれな職場」という誤解
フリーアドレスの導入と同時に、デザイン性の高いオフィスに改装する企業の事例は多い。しかしデザイン性は、社員の意識を改革したり、モチベーションアップやリフレッシュによって集中力をアップしたり、企業の理念やブランド価値を視覚化したりするということが目的なので、フリーアドレスに必須な要素ではない。
重要なのは、目的とするフリーアドレス制度を達成するために必要な機能性があるか否かだ。オフィスに導入されたカフェスタンドを見て、「忙しい社員にはそんなものを使いこなす余裕はないはず。もったいないのでは」といった声が聞かれることがあるが、多くの場合、カフェスタンドはお茶やコーヒーをいれる給湯室や、弁当を食べる休憩室の発展形と考えられる。通常は人目に付きにくいところにあるこういったスペースをオープンにするという工夫によって、社員のモチベーション向上を図るわけである。
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