「北斗の拳」に「銀河鉄道999」 マンガとコラボした広告の意外な効果:コンテンツの潜在力に注目(1/3 ページ)
マンガとコラボした広告を戦略的に使う企業が出てきた。想定以上の成果を上げているところもある。どのような狙いでマンガとコラボしているのだろうか?
マンガとコラボした広告の効果に注目する企業が出てきた。単に知名度の高さから有名マンガとコラボするのではなく、緻密な分析を踏まえたマーケティング戦略の一環として位置付けている。また、マンガの持つ潜在力にビジネスチャンスを見いだすベンチャー企業も登場してきた。
銀河鉄道999とコラボして成果を出したRIZAP
RIZAPが2017年8月に行った「RIZAP×銀河鉄道999〜理想のボディを手に入れるための新たな旅〜」キャンペーン。これは、期間内に専用フォームから同社に問い合わせなどを行ったお客に対し、オリジナル限定フィギュアをプレゼントするというものだ。
キャンペーンに登場するのは松本零士氏が手掛けた名作マンガ「銀河鉄道999」。専用サイトではキャンペーン用に制作されたオリジナルストーリーが読める。同作品は1977〜81年にかけて少年誌で連載されたもので、40〜50代に絶大な人気を誇る。
キャンペーンの狙いについて同社のマーケティング担当者は次のように語る。
「テレビCMにより当社のブランド認知度は大きく上がりましたが、お客さまにサービスのより深い内容をどのように伝えるのかが、マーケティング上の大きな課題になっていました。銀河鉄道999のファン層(40〜50代)とRIZAPのコアターゲット層が重なっていることと、両者の根本となるコンセプト『理想のカラダを追い求める』という点が合致している点から、コラボの可能性を大いに感じキャンペーン実施に至りました。また、銀河鉄道999が40周年を迎え、世間から再注目されるタイミングが重なったことも決定要因の1つとなりました」
成果は上々だった。キャンペーン専用バナーのクリック率が通常のバナーよりも高く、今までサイトを訪問したことのない多くの新規ユーザーを獲得できたという。さらに、通常のキャンペーンサイトでは1ページでユーザーが離脱することが多いが、ユーザーが複数ページを回遊しマンガを読んだため、担当者は当初の狙いである「サービスの深い理解」は達成できたと見ている。
RIZAPは5月から人気マンガ「北斗の拳」とコラボしたキャンペーンを開催している。同社にとってマンガとコラボした広告手法はすっかり定着したようだ。
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