プロ野球界の人材登用に風穴 DELTAがビジネスマンなどに向けたセミナー:門戸を開く(2/2 ページ)
野球データ分析を専門とするDELTAが、プロ野球の球団フロントなどを講師にしたセミナー「リーダーズ・オブ・ベースボール・オペレーションズ」を開催している。そこにはビジネスパーソンや学生などが多く詰め掛けているのだ。
球団運営にも“二刀流”を
例えば、セミナーの第1回に登壇したのは、福岡ソフトバンクホークスで球団統括本部長兼チーム戦略室室長を務める三笠杉彦氏だ。三笠氏は2008年にソフトバンクから福岡ソフトバンクホークスへ異動し、球団管理のシステム化を皮切りに、スポーツサイエンスに基づく解析や積極的なIT投資を行い、チーム強化、球団経営強化に努めてきた。
ホークスはビジネススキルの高い人材の採用を積極的に進めてきたが、ここ数年はビジネス面を重視するあまり、野球にあまり興味ないという人材も出てきたという。そのため基本的なことから逐一教える必要があるほか、野球ファンの心をつかむようなアイデアが出にくいなど、いくつかの課題があった。
「やはり商品(野球)を知らないというのは問題だ。今後はビジネスと野球(スポーツ)の双方に明るい“二刀流”がプロ野球の球団運営にも求められている」(三笠氏)
セミナーに参加した保険会社で働く男性は、「野球が好きで、球団の仕事に就きたいと思っていたが、採用情報すら出ていなかった。こうした取り組みをきっかけに野球界への門戸を広げてほしい」と訴えた。また、IT企業に勤める女性は「データ分析するようなマーケティングの業務に携わっている。そのスキルを球団で生かしてみたい」と意気込んだ。
一般企業からプロ野球チームへ――。このような転職が活発になることで、日本の野球界だけでなく、スポーツ界全体の底上げにつながることは間違いない。
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