ハンバーガーの肉が倍になる夜マックが「客にも店にもオイシイ」真の理由:コスパだけじゃない!(2/2 ページ)
マクドナルドのパティが100円で倍になる「夜マック」が好調だ。夕食のニーズを創出したことに加え「完全な新商品」でない点が店側のメリットにつながっている。
無理なく客単価アップに寄与
一方、ユーザー側のメリットだけでなく店側にとっても合理的な施策と評価する声も。外食産業に詳しいいちよし経済研究所の主席研究員、鮫島誠一郎さんは夜マックについて夜間の売り上げアップ以外にも2点のメリットを指摘する。
1つ目は、「全く新しい商品の導入ではなかった」こと。「既存のパティを倍にしただけ。店員のオペレーションも楽で店側の負担増が少ない」(鮫島さん)
鮫島さんによると、マクドナルドでかつて単品価格が1000円の高級ハンバーガーが販売された際には、人気が出たため店舗によっては少しオペレーションが混乱していた印象もあったという。「今回は現場も混乱していないと思う」(鮫島さん)
しかも、これが新商品であれば店舗によっては売れず廃棄ロスが発生する。しかし「夜マックは既存のパティを使っているだけなので、別に捨てる必要はない」(鮫島さん)
もう1つのメリットは客単価の上昇。「飲食・食品業界はどうやって値上げして単価を上げるかに知恵を絞っている。食品メーカーなら価格は据え置きで商品の分量を減らす『なんちゃって値上げ』を行う。しかし、夜マックの100円値上げなら(そういった手段を取らずに)客単価を上げることができる」(鮫島さん)
ハンバーガー類にチリソースなどの追加トッピングを用意し、「自分だけの味わいが合計1124通りも楽しめる」とうたう「裏メニュー」サービスも打ち出しているマクドナルド。こちらも完全な新商品という形を取らず、店のオペレーションに負荷をかけず客に売り込む戦略といえる。マクドナルドの柔軟な商品戦略に注目が集まる。
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