売り手市場時代の「受け身の新人」をやる気にさせる「伝え方」のワザ:不安を取り除けば、開花する(2/3 ページ)
毎年聞こえてくる、「今年の新人は使えない」との指摘はなぜ生まれるのか。新人はどうすれば育つのか。新入社員の育成ノウハウに詳しい、リクルートマネジメントソリューションズを取材した。
新人はどうすれば育つのか
こうした“世代間ギャップ”は、どうすれば埋められるのか。新人はどうすれば育つのか。
桑原氏は、「新人一人一人の中には、本来持っているやる気と能力がある。それを引き出すアプローチをとれば彼らは大きく成長する」と説明する。
新人を育てる手法として、桑原氏はまず「安心させること」を挙げた。「経験・スキルが足りないため、新人は失敗して上司や先輩から否定されることを恐れている。すぐに叱りつける風潮が、思い切った挑戦を阻害している」という。
具体的な伝え方の方法は、(1)相談・質問された際に否定せず受け止め、失敗しても対応策を一緒に考える、(2)今はうまくいかなくても「いつか必ずできる」と信じ、それを伝える――などが効果的という。
「『失敗したら否定される』という不安を払拭(ふっしょく)すると、より積極的で主体的な行動を取れるようになる。成功体験を積むと、自信とやりがいにもつながる」(桑原氏)
「意味付け」で「配属リスク」での退職を防げ
また桑原氏は、新人のやる気を引き出す方法として「任せる仕事に『意味付け』を与えること」も挙げた。
新人がモチベーションを失ったり、早期離職を検討したりする大きな理由に、「やりたかった仕事と任された仕事が違う」というものがある。自分の行きたくない部署に配属されてしまう「配属リスク」がその代表例だ。
こうした要因で意欲を失う新人に対し、桑原氏は「上司は、『その仕事にどんな意味があるのか』『どんな成長につながるのか』『キャリアにどんな効果をもたらすか』などを、個々人ときちんと向き合い、逐一説明してあげてほしい」と提案する。
「良くも悪くも、彼らは仕事を無理やり押し付けると拒否反応を示す。頭ごなしに『やれ!』と指示したり、説明もなく希望していない部署に送り込むのではなく、対話によって意味を与えれば、彼らは必ずついてくる」という。
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