無印、約230品目の値下げを発表 値上げにはもう懲りた?:コロコロ変わった靴下の価格(1/2 ページ)
無印良品を運営する良品計画は8月末以降に約230品目の値下げを行うと発表した。ここ数年、同社は積極的な値下げ戦略をとっているが、その背景には過去の値上げによる客数減のトラウマがあるかもしれない。
無印良品を運営する良品計画は6月11日、衣料・雑貨の約30品目と生活雑貨の約200品目を値下げすると発表した。8月末以降に実施する予定で、例えば「脇に縫い目のない二重ガーゼパジャマ」(4980円、税込み、以下同)を3990円に、「オーガニックコットン洗いざらし掛ふとんカバー・シングルサイズ/生成(きなり)」(3890円)を2990円にそれぞれ値下げする予定だという。
良品計画の広報担当者は「生産工程や素材を見直すことで、価格改訂(値下げ)は常に行っている」と説明するが、実はここ数年の値下げ戦略により無印良品の店舗には客足が戻ってきている。
2007年度以降、既存店客数は前期比でマイナスになることが多かったが、17年度には前期比プラス6.1%となった。18年2月期決算説明会資料では「2017年度の後半からは(中略)主力商品の価格見直しによる、販売点数増と客数の回復が既存店売上の底支えとなった」と説明している。どのような経緯で積極的な値下げを行うようになったのだろうか。
コロコロ変わった靴下の価格
無印良品の価格戦略が“迷走”したかのような印象を与える商品がある。それは「えらべる靴下」シリーズだ。無印良品は15年12月に「えらべる3足靴下(紳士・婦人)」を3足1000円から1200円に値上げした。当時の発表資料には「原材料費の高騰や海外生産拠点での人件費上昇が続いており、経費削減や業務効率化では耐え切れなくなった」という趣旨の説明がされている。靴下だけでなく、同社はTシャツや家電製品の値上げをこの時期に次々と発表している。
値上げしたあと、靴下の売り上げ数量や売り上げ金額は前年比マイナスとなった。靴下につられるように、衣類・雑貨部門の客数は前期比マイナス10%という深刻な状況に陥った。この苦境を改善すべく、無印良品は靴下の値下げセールを頻繁に行うようになった。良品計画の18年2月期決算説明会資料には「値下げ乱発」という生々しい記述がある。
16年8月、値上げの反省からか同社は靴下の価格を3足990円に値下げした。すると、靴下の売り上げ数量、売り上げ金額ともに前期比で大幅なプラスとなり、衣服・雑貨部門の客数にも好影響があった。
関連記事
- 絶滅危惧のウナギ、2.7トン超が廃棄 大手小売り調査
2017年に大手小売事業者が廃棄した二ホンウナギは約2.7トン。NGO(非政府組織)グリーンピース・ジャパンの調査で判明した。「かば焼き」に加工したものが賞味期限切れなどの理由で捨てられていた。 - ヨドバシの接客力を支える「すごい教育」
社員の接客レベルや商品知識の深さが評判のヨドバシカメラ。高い接客力を支えているのは社内の教育体制にあった。いったい、どんなことをしているのか? - 狙いは肉食系男子? 「ドンキ化」したファミマに行ってみた
ドンキのノウハウを注入したファミマの実験店舗がオープンした。商品の品ぞろえや陳列方法はこれまでのファミマからは想像もできないものだった。オープン当日の様子をルポ形式でお届けする。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 6畳弱の狭い物件に、住みたい人が殺到している理由
6畳弱の狭い物件が人気を集めていることをご存じだろうか。物件名は「QUQURI(ククリ)」。運営をしているピリタスの社長に、その理由を聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.