日本人が知らない「ゴッドファーザー」の世界 末裔が語る“マフィアの掟”:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
映画『ゴッドファーザー』のモデルになったマフィアのボス。その末裔が日本でイタリア料理店を経営している。彼が自身の人生をまとめた著書を出版した。そこから、現代のマフィア事情が見えてくる。
麻生大臣が会いに行った
そもそも筆者がルチアーノ氏の存在について知ったのは、3月。麻生太郎財務相がルチアーノ氏の経営するイタリア料理店を訪れる姿が写真週刊誌『フライデー』で報じられたからだ。
麻生氏といえば、ファッションに「こだわり」を持っていることで知られる。35万円を超えるスーツを着用していると報じられてネットで大きな話題になったり、国外の会議などでの服装が取り沙汰されたりしている。確かに、ハットを目深にかぶるなど、マフィア映画を参考にしているのではないかと思うようなセンスが見受けられる。
そんな麻生氏が、ぜひマリオ・ルチアーノ氏に会いたいということで、このイタリア料理店への訪問が実現したのだという。しかも友人4〜5人で貸切りにして、ルチアーノ氏ともゆっくりと話をしたらしい。
ただ現役の大臣がマフィア文化に憧れているというのは欧米ではちょっと受け入れられないだろう。ただ文化の違う日本ではマフィアといっても映画の中の存在でしかないし、日本にはヤクザが存在するとしても比較しにくい。だからこそ、麻生氏もこの料理店でルチアーノ氏に会って、映画ではない実際のマフィア文化を実感したかったのだろう。食事を終え、麻生氏は大満足で迎えの車に乗り込み、店を後にしたという。
現役大臣が直々に会いに来るルチアーノ氏とはどんな人物なのか。ルチアーノ氏は1964年にイタリア・シシリア島のカターニャで生まれた。その後ニューヨークに渡り、10歳からギャング団や旧ルチアーノ一家(現ジェノヴェーゼ一家)のメンバーとして悪事に手を染めるように。結局、父が流れ着いたフィリピンに渡り、拳銃の密売などで生計を立て、その後、来日する。
日本では、フィリピン時代から付き合いがあった日本の暴力団と仕事をしていくようになったという。詳細は本書に譲るが、その後は裏切りなど紆余(うよ)曲折を経て、東京・茅場町にイタリア料理店「ウ・パドリーノ」をオープン、現在に至る。
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