「ウナギを食べるのはやめよう」 代用食の提案は広まるか?:資源保護と消費者ニーズの板挟み(1/3 ページ)
土用の丑の日を前に、ウナギの代用食を提案する企業が増えている。背景にあるのはウナギの絶滅が危惧されていることだけでなく、「減っている魚は食べないようにしよう」「持続可能な漁業で穫れた魚を食べよう」という国際的な潮流だ。
「もう流通各社とウナギの奪い合いはしない」
6月18日の記者会見で宅配大手らでぃっしゅぼーやの藤巻啓二取締役はそう宣言した。ウナギがIUCN(国際自然保護連合)から絶滅危惧種に指定されたり、「うなぎの稚魚が不漁」というニュースが話題になったりしたことを踏まえ、「土用の丑の日にウナギを食べるのはもうやめたほうがいいのでは」という消費者の声が高まってきている。同社はそこで、土用の丑の日にウナギの「代用食」を食べようという提案を初めて行うことになったのだが、背景にはどういった事情があるのだろうか。
ウナギ以外を食べよう
土用の丑の日にウナギを食べるのは、スタミナをつけて暑い時期を乗り切るのが目的だ。そこで、らでぃっしゅぼーやは「国産豚の一口餃子」(640円、税込、以下同)、「湯せんだけ さんまの蒲焼」(318円)、「たんかく牛ランプステーキ用(冷凍)」(2651円)、「丹沢高原豚ヒレブロック(冷凍)」(2020円)といった商品を顧客にアピールする。
商品のカタログを読むと「スタミナ食材にんにく入り」「今年の丑の日は『牛』の日に」「江戸時代から親しまれてきたさんまの豊富な栄養を」といったキャッチコピーが並んでいる。
なぜ、同社はウナギの代用食をアピールするのだろうか。背景にあるのは、顧客から「ウナギが減っているのに、お宅はなぜウナギを売り続けているのか」という指摘があったことや、2018年1月に「ウナギの稚魚が歴史的な不漁」というニュースが広まったことがある。
らでぃっしゅぼーやは「安心・安全の食を届ける」「食を通したライフスタイルの提案を行う」という価値を顧客に提供してきた。ウナギをあえて食べないという提案は、顧客に受け入れられると判断した。
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