社内表彰をしても、若手が辞めてしまうのはなぜか:1000社導入の「褒めるSNS」(2/3 ページ)
社内表彰などの「褒める制度」を導入している企業はたくさんあるが、それはモチベーションや定着率の向上につながっているだろうか。1000社が導入した「褒め合い」システムを開発した企業に、褒める文化が根付かない理由や称賛の考え方などを聞いた。
「仕事=行きたくない」?
――シンクスマイルが14年に商品化した「ホメログ」はたくさんの企業に導入されています。開発したきっかけは何ですか。
検索エンジンで「仕事」と入力すると、検索予測の候補として出てくる言葉がひどいのです。「行きたくない」「つらい」「つまらない」など……。こんなの子どもに見せたくないですよね。私は19歳で起業したのですが、そのときに「月曜日に足取りが重くなる会社にはしない」と決めました。
では、「いい会社」とは何でしょうか? その一つとして、「いいサービスを生み出している会社」という視点があると思います。なぜなら、そこにはいい企業文化があり、それは現場のコミュニケーションによってつくり上げられているからです。例えば、ディズニーやザ・リッツ・カールトン、スターバックスなどが代表的です。
しかし、コミュニケーションは目に見えるものではありません。そうであれば、まずそれを「見える化」しようと考えました。11年に、お互いに褒め合うSNSの仕組みを作って、社内で使い始めました。すると、NHKに「褒める会社」として取り上げられ、「ウチでも使いたい」という声をたくさんいただきました。「みんな困っている」ということに気付き、商品化したのです。
――どのような仕組みのシステムですか? 新しいモノを導入しても、すぐに廃れてしまう、というケースは多いと思いますが、そうならないのでしょうか。
ホメログは、企業ごとに「価値ある行動」を決め、それに合った行動をした人を褒める「バッジ」をSNS上で贈り合う仕組みです。スマートフォンなどからバッジを選んでコメントするだけです。
ホメログで蓄積した1000社分のデータをもとに、新サービス「RECOG(レコグ)」も5月に正式に開始しました。ホメログでは褒める基準となる行動特性が企業ごとに異なりましたが、RECOGでは統一しています。「アクティブ」「オーナーシップ」「スピード」「リレーションシップ」「ホスピタリティ」「メンバーシップ」の6つです。ホメログは各企業の理念浸透を目的としていますが、RECOGは称賛文化を広く浸透させる狙いがあります。
RECOGでは、メッセージを書いて、相手に贈るポイント数を選びます。そうすると、6つの行動特性から当てはまるものが自動で選択され、相手に贈られます。贈られた人は、リアクションを4種類の中から選ぶだけです。そのやりとりは社内の全員が閲覧でき、他の人が「拍手」をすると、贈った人にも贈られた人にもポイントが付与されます。
獲得ポイントはオリジナルギフトサイトで商品や体験と交換することができます。心の報酬とコト報酬を組み合わせた仕組みです。
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