日本通運、政府米の保管で不正 包装破れを隠して出荷、検印も偽造:一部は出荷
日本通運の社員が政府米の保管業務中に不正を行っていたことが発覚。包装破れを隠して出荷し、検印も偽造していた。関係者からの指摘で発覚したという。
日本通運は7月4日、広島支店の社員が2014〜16年にかけ、非常時に備えて日本政府が備蓄している「政府米」の管理業務中に不正行為を行っていたと発表した。雨漏りや荷崩れなどで外装が破損した政府米計266袋を、新しい袋に詰め替えた上で偽造の検査印を押し、一部は出荷していたという。
日本通運によると、発覚の経緯は「再寄託している倉庫業者から広島支店に指摘があったため」(広報部)。不正を行った社員は現在も同社に在籍しており、「今後、社内規定によってしかるべき処分を下す予定」(同)という。
社員は14年6月、倉庫で保管していた12年産の政府米(玄米、1袋30キロ)15袋が雨漏りでぬれたことを把握したが、中身はぬれていなかったため、新しい袋に詰め替え、偽造した検査印を押したという。この15袋は16年5〜6月に飼料用米として飼料工場に出荷されたが、消費者向けには流通していないという。
また15年2月と16年9月ごろにも、保管中の荷崩れによって外装が破れた政府米(同)251袋に対して同様の対応を取ったとしている。この251袋は出荷されておらず、現在も日本通運が保管中という。
日本通運は不正発覚を受け、18年4〜5月にかけて政府米保管業務における違反行為の有無を全社的に調査したが、「本件以外の不正は認められなかった」(同)としている。
今後は未出荷の251袋のほか、同じ倉庫で保管していた政府米4万3603袋を全て焼却処分する予定。従業員に対するコンプライアンス(法令順守)教育の徹底と社内管理体制の強化を進めていくという。
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