ついカッとなる人、減少中? 「鉄道係員への暴力」17年度は過去10年で最少:依然として金曜深夜などに多発
2017年度に発生した鉄道係員に対する乗客の暴力行為は656件で、過去10年間で最も少なかった。警察官の巡回などが抑止に貢献した。今夏は新たなポスターを掲出し、さらなる抑止を図る。
JR東日本、JR西日本、東京都交通局など鉄道大手34社はこのほど、2017年度(17年4月〜18年3月)に発生した鉄道係員に対する乗客の暴力行為は656件で、過去10年間で最も少なかったと発表した。「啓発ポスターの掲出、警察官の巡回、監視カメラの設置などが抑止に貢献した」という。
調査によると、385件の加害者が酒気を帯びていた。加害者の年齢は60代以上(153件)がトップだったが、20〜50代の各年代に幅広く分布していた。発生場所は改札(241件)、ホーム(207件)、車内(107件)の順に多かった。
月別では4月(69件)、曜日別では金曜日(117件)、時間帯別では午後10時〜翌午前5時の深夜帯(256件)に暴力行為が多発する傾向がみられた。
各社は「14年度以降連続して減少傾向を示しているものの、依然として暴力行為が多く発生しているのが現状だ。引き続き、暴力行為に対して鉄道業界全体で結束し、毅然(きぜん)とした態度で対応していく」としている。
「つい、カッとなった。人生、ガラッと変わった。」
また、日本民営鉄道協会加盟会社やJR6社など鉄道大手85社は、暴力行為防止に向けて夏季(7月13日〜9月12日)に掲出するポスターを発表した。
「つい、カッとなった。人生、ガラッと変わった。」をキャッチコピーとし、暴力を振るう男性のシルエットを採用。「いったん、心を落ち着けましょう」などと呼び掛けている。
各社合計で列車内に約6万2700枚、駅構内に約7100枚を掲出し、「暴力行為が決して他人事ではないということを感じていただき、暴力行為防止を強く訴えかけていく」としている。
関連記事
- なぜ日本のおじさんは怒ると「責任者を呼べ!」と騒ぐのか
街中を歩いていて、おじさんが「責任者を出せ!」と騒いでいるのを聞いたことはないだろうか。例えば、駅員に大声を出したり、コンビニの店員を叱ったり、とにかく日本のおじさんはよく怒っている。なぜおじさんは「責任者を呼べ!」と叫ぶのか、その背景を調べてみると……。 - 文科省の局長逮捕は「天下りシステム」崩壊の副作用ではないか
文科省の科学技術・学術政策局長が逮捕された。息子を裏口入学させる見返りに、大学に便宜をはかったとされているが、なぜこのような不正を行ったのか。筆者の窪田氏は「天下りシステム崩壊の副作用ではないか」とみている。どういうことかというと……。 - なぜ日大は炎上したのか? 原因は「オレはそんなこと言っていないおじさん」の存在
日大アメフト部が大炎上している。普段、大学にもアメフトにも危機管理にも関心のない人が、なぜこの問題に“参戦”しているのか。筆者の窪田順生氏は「オレはそんなこと言っていないおじさん」の存在を挙げている。どういう意味かというと……。 - 豪雨被災地で「レスキュー隊装った窃盗団出現」などデマ拡散 広島県警が注意喚起
西日本豪雨の発生を受け、「レスキュー隊のような服を着た窃盗グループが被災地に入った」などのデマが拡散。広島県警は「そんな事実は把握していない」とうわさを否定し、注意を喚起した。 - JR東、在来線・E2系新幹線の防犯カメラ拡充へ 安全性高める
JR東が、在来線と東北・上越新幹線の一部車両に防犯カメラを設置すると発表。計1万1000車両が対象。今夏以降に順次設置する予定。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.