横綱の稀勢の里が引退できない、2つの背景:赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)
横綱・稀勢の里の休場が続いている。8場所連続の休場なので「引退」していてもおかしくはないが、なぜか周囲は“寛容”である。その理由は……。
タイミングを逃し、晩節を汚してしまうのか
かつて「おしん横綱」と呼ばれ、苦しみを乗り越えて角界の頂点をつかんだ元隆の里・鳴戸親方ならば、愛弟子の稀勢の里が周囲から現役続行のムードを押し付けられる中でもかつての自分の腐心を顧みながら適切な助言を送ることができたのではないかと思う。
稀勢の里は今月5日で32歳。まだ老け込むような年齢ではないにしても深刻なケガの状況を見る限り、奇跡の復活に結び付く可能性は残念ながら極めて厳しいと言わざるを得ない。周囲の甘いささやきに乗せられたまま引退を先送りにし、ボロボロになりながら晩節を汚してほしくないと切に願う。
乱暴な物言いであることは分かっている。だからこそ稀勢の里には筆者のような少数派の辛口評に発奮し、大相撲の歴史を塗り替えるようなミラクルVを来場所で見せてほしいと思う気持ちが実は心の片隅にあることも最後に補足しておく。
臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年フランス、2002年日韓共催、2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2014年ブラジル、2018年ロシア)、五輪(2004年アテネ、2008年北京、2017年リオ、2018年平昌)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
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