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銀行員“受難”の時代にどう生き残るか 「ジェネラリスト」はもういらない浪川攻氏に聞く(3/3 ページ)

2017年11月、メガバンク3行が大規模な構造改革に踏み切ると発表した。三井住友銀行は約4000人分の業務量、三菱UFJ銀行は約6000人、みずほ銀行は約1万9000人に上る人員削減計画を打ち出し、世間のみならず銀行員自身にも大きな衝撃を与えた。

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古い組織文化を克服できるのか

――ご指摘された人事異動制度だけではなく、年功序列制度など銀行員の成長の妨げになるような“古い組織文化”が未だ深く根付いているように思います。大規模な構造改革を進める傍らで、銀行はこのような現状を変えられると思いますか?

 長年にわたって定着してきた組織文化を変えることは容易ではなく、経営層が保身的で及び腰では改善できない課題だろう。しかし、構造改革に本気で取り組む中で、このような古いマインドも同時に見直さなければ、現場の身が持たなくなる段階に来ていると感じる。

 銀行に限ったことではないが、これからの時代では経営層が社員や現場にもっと語りかけ、一丸となって改革を進める経営力が問われるだろう。

 今回のメガバンクの構造改革の発表では、経営層が改革のビジョンや真意などを現場と共有できていなかった。銀行はいわゆる「ピラミッド型縦社会」なので経営層が現場に丁寧に伝える文化がそもそもなかったのかもしれない。だが、これでは現場は戸惑うばかりで、社員の間で経営層に対する不信感が広がり、士気低下につながる可能性もある。

 かなり基本的なことではあるが、今まではこの基本的なことがなおざりにされていたわけだ。

 さらに言えば、メガバンクはどこも優秀な人材を確保できているし、銀行のサービス内容にも大差はない。そんな中でメガバンク内で明らかな優劣の差が生じてしまっている原因を挙げるとすれば、それは今述べたことも含め、経営力に差があるからだと思う。

 構造改革を進めることには賛成だが、その一方で経営層が現場の声をすくい上げる努力をしなければ“自然減”以上の“人材の流出”が起こる心配をした方がいいだろう。

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金融ジャーナリストの浪川攻氏。上智大学卒業後、電機メーカーを経て金融専門誌などで記者として活躍。2016年にフリーに転身。「銀行員はどう生きるか」など、数多くの書籍を執筆。
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