女性キャリアを停滞させる原因にメス ブラザー工業が講じた施策とは?:諦めずに働き続けるには?(1/3 ページ)
他社に先駆けて女性活躍推進やダイバーシティに取り組んできたブラザー工業。しかし、現場の女性社員に聞くと「当社は働きやすいが、昇進には二の足を踏んでしまう」という声が少なくなかったという……。
古くは織田信長公が桶狭間の戦いを前に戦勝を祈願したことで知られる熱田神宮からほど近く、私鉄の堀田駅に降り立って周辺を見渡すと、さまざまなところから同じ会社の大きなロゴが目に飛び込んでくる。この地に本社を構えるブラザー工業だ。
同社は1908年にミシンの修理業から始まった。その後、培ったプレス加工技術などを応用してタイプライターやプリンター、複合機などを商品開発し、ビジネスの幅を広げていった。現在は通信・プリンティング機器の事業が売り上げの半数以上を占める。
しかしながら、ご周知のように国内プリンター関連市場は厳しさを増している。調査会社のIDC Japanによると、2017年の国内レーザーMFP(Multi-Function Peripheral)/プリンター全体の出荷台数は前年比2.0%減の140万9000台となり、ダウントレンドが数年続いている状況である。
ブラザー工業においても、プリンティング&ソリューションズ事業の18年度予想は売上高3935億円(前年比4.5%減)、セグメント利益498億円(同5.8%減)としている。
「そうした中だからこそ、社員がモチベーション高く働ける職場環境づくりが必要なのです」と、人事部 労務グループの青木勝彦グループ・マネジャーは力を込める。
近年、日本でもダイバーシティや女性活躍が叫ばれるようになっているが、ブラザー工業では他社に先駆けてこうした取り組みを進めてきた。11年に「名古屋市女性の活躍推進企業」に認定されたのを皮切りに、12年は「愛知県ファミリー・フレンドリー企業」特別賞、14年は「ファミリー・フレンドリー企業部門」厚生労働大臣優良賞、15年は経済産業省による「新・ダイバーシティ経営企業100選」に認定された。
では、同社の職場づくりに関する具体的な取り組みと成果について見ていこう。
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