ウナギ業界の「異常」にイオン、岡山のベンチャーが立ち向かう理由:密漁と“密輸ロンダリング”が支える「土用の丑の日」(5/5 ページ)
今年もウナギ業界最大のお祭り「土用の丑の日」がやってきた。だが、そのお祭りを支えるのは、暴力団による密漁、そして香港を経由した「密輸ロンダリング」など、「異常」とも呼べる数々の違法行為だ。遅々として進まない日本政府の取り組みを尻目に、イオンや岡山のベンチャー企業「エーゼロ」は持続可能な養殖に向けて挑戦を始めている――。
地方と大手のシナジー効果に期待
エーゼロの挑戦はまだ始まったばかりだが、この一見大胆すぎる取り組みは、メディアや関係者の強い関心を集めた。
こうした地方からの草の根の取り組みと、大手リテーラーによる全国規模での取り組みは注目に値する。海洋環境の保護に取り組む国内外のNGOや企業、研究者が何かしらのシナジーを生み、一般人からの関心も呼び起こすことができれば、「持続可能なウナギ」のための力強い推進力となるだろう。
著者プロフィール
真田康弘(さなだ やすひろ)
早稲田大学地域・地域間研究機構客員主任研究員・研究院客員准教授。神戸大学国際協力研究科博士課程前期課程修了(修士・政治学)。同研究科博士課程後期課程修了(博士・政治学)。大阪大学大学教育実践センター非常勤講師、東京工業大学社会理工学研究科産学官連携研究員、法政大学サステイナビリティ研究教育機構リサーチ・アドミニストレータ、早稲田大学日米研究機構客員次席研究員・研究院客員講師等を経て2017年より現職。専門は政治学、国際政治史、国際関係論、環境政策論。地球環境政策や漁業資源管理など幅広く研究を行っている。著書に『A Repeated Story of the Tragedy of the Commons: A Short Survey on the Pacific Bluefin Tuna Fisheries and Farming in Japan』(早稲田大学、2015年)、その他論文を多数発表。
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