山崎拓氏に独占取材 「安倍一強」支えるネット世論を斬る:元自民党副総裁、YKKの一角が語る(3/3 ページ)
元自民党副総裁の山崎拓氏に「安倍一強」を支えるネット世論について聞いた。背景には新聞や本を読む人が減っていることや、イデオロギーが無く現状に甘んじる若者の傾向があると説く。
現体制に甘んじる日本人
――ネット全盛の時代、特にポピュリズムに世論が走るのは危険だと感じます。
山崎: 民主政治では「国民は自らの水準以上の政府を持つことはできない」という言葉があるように、国民一人一人の水準によって政治の水準が決まります。水準が低いということは民主政治のレベルが低いということであって、成熟した国家とはいえないですよね。
識字率の低い国の民主政治というものは一握りのエリートに牛耳られる可能性が高い。日本の場合はそれほどレベル低くないけれど、高くもないですよね。
だいたい、安倍さんも麻生さんも間違った言葉を使ったことがある。政治家もレベルが落ちたし、有権者もレベルが落ちたのです。豊かにはなったが。思想的にはまあ、社会に反抗する人は少なくなった。社会というのは体制とも言うべきです。
現体制とはつまり自民党の体制のことですけれども、これに反発する者は非常に少ないと思う。現状に甘んじているから。現状が悪くないからですよ。何かやってれば飯が食えるから、日本は。そういう社会に日本はなっているから。それは今までの政治が良かったからであって、これからの政治がいいとは限らないですね。
――特にネットの世界で読者とメディアのレベルの低下は問題になると思います。
山崎: ネットの役割は大きくなったと思います。僕は全くネットに接しないので分かりませんけれども。まあ、“ネット階層(ネットを主に見る人)”というのが増えているのは間違いないので、あなた方(ネットメディア)の役割は重要だと思います。
だけれどやっぱり、新聞、いや本も売れなくなっているけれども(本に)僕は帰るべきだと思いますね。僕はそういう世代ですから。読書量が教養を規定し、教養が政治の水準を決める。国民は自分以上の水準の政府を持つことができない、そういうことなのです。
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