変化と不変の両立に挑んだクラウン:池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/4 ページ)
トヨタのクラウンがフルモデルチェンジした。すでにクローズドコース試乗で高負荷域の「クラウン離れした」仕上がりを体験し、その激変ぶりをインプレッションに書いたが、今回改めて一般公道での試乗会が開催された。クラウンのクルマとしての真価はいかに?
ドイツ車と比べられるクラウン
さて、クラウン。全体にどうか? 販売店ではドイツ御三家との比較セールストークが頻繁に出るらしい。まあそこと勝負したくてニュルで鍛えた部分もあるので、間違ってはいないと思う。ただBMWにもアウディにもあのおっさんの楽園感はない。ベンツには昔はあったけれど、最近その成分が減りつつある。
純粋に運動体として見て、プレミアムEセグに勝ったとは言えないが、同じ土俵に立たせてもらえるところまで来た。プレミアムDセグには勝っていると思う。どんどん肥大している欧州勢に対して、横幅1800mmを守っていることは価値のあり方のひとつだろう。値段も高くなったとはいえ、プレミアグEセグと比べれば安い。
しかし何よりも筆者が評価するのはあれだけの高運動性能を実現しながら、おっさんを甘やかしてくれる安楽さが不変だったことだ。
試乗を終わって主査に聞かれたので「ちゃんとおっさんセダンでしたよ」と言うと微妙な表情になった。「いや、そう言われると……」。褒め言葉なのを分かってほしい。
筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。
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