胸の大きい女性が胸を張って着られる服を 27歳女性起業家の挑戦:自身の悩みが出発点(1/3 ページ)
27歳女性が起業した胸の大きな女性向けの洋服ブランドが急成長している。ユーザーの要望をきめ細かく商品に反映、Twitter上で同じ悩みを持つ女性の共感を呼びヒットした。
体形にうまく合う服がない。おしゃれに気を遣う女性にとって悩ましいテーマだ。特に「胸の大きい」女性はきれいに着こなせる洋服が見つかりにくいという。男性にはどうしても実感しづらい悩みといえる。
ニッチなようでいてとても切実な女性の「胸と服」の問題を解決しようと立ち上がった女性起業家がいる。胸が大きな女性向けのアパレルブランド「overE」を打ち出したエスティーム(東京都中央区)のCEO、和田真由子さん(27)だ。自身も同じ悩みを抱えていた彼女がこのブランドをどうヒットさせたのか追った。
日本人女性の4人に1人がEカップ以上
和田さんが起業する原体験となったのが大学時代の不登校。同級生にいじめられてしまって理由を探り悶々とする中、どうしても自分の外見が気になるようになった。自宅で2時間かけてメークを付けたり落としたり、ようやく家を出ようとしたら「胸元が開きすぎでは」「太りすぎに見えるかな」と悩み不登校に。和田さんは「当時、自分に合う服があれば勇気を出して登校できたのかもしれない」と振り返る。
その後大学を退学した和田さん。実は在学時から起業に興味を持っていたが、そのまま雑誌の編集者に。しかし再びベンチャーを志すようになり起業を支援する団体を訪問。「自分の悩みを他の人も抱えているかもしれない。その解決がビジネスにつながる」とアドバイスされた。
そこで女性の胸について調べたところ、日本女性のバストサイズが年々大きくなっていることに気づいた。下着メーカーのトリンプ・インターナショナル・ジャパンの調査によると、2015年では女性の約4分の1がEカップ以上。Aカップはわずか4.7%だった。ちなみに1980年ではAカップが約6割を占め、Eカップ以上はほとんどいなかった。
和田さんによると、大きな胸の女性向けのブラジャーは普通に売られているが、実は洋服はあまりなかったという。商機と捉えて起業した和田さんは2016年4月から準備を本格的に開始。オーダーメイドシャツを作る工場に洋服を発注し、16年8〜9月にクラウドファンディングを実施、同年10月には自社サイトでワイシャツを発売した。
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