ドンキはなぜここまで成長できたのか、そして何を目指しているのか:ビジネスモデルを徹底検証(2/4 ページ)
ドン・キホーテの快進撃が止まらない。29期連続の増収増益を達成する見込みであり、コンビニやスーパーが競ってそのノウハウを学ぼうとしている。ドンキの強さの秘密はどこにあるのか。そして、どんな進化をしようとしているのか。
ドンキの権限移譲主義
かつて私がドンキを取材した際に印象的だったのは、一般的なイメージとは裏腹に、真摯(しんし)で明るく、データを駆使する現場の従業員の姿だった。本社が一括で仕入れる商品も確かにある。ただ、あくまで各店舗と従業員一人一人が主役だと位置付けている。
仕入れの品目や数量もかなり現場に権限が移譲されており、店舗独自の仕入れは全体の4割にものぼる。ドンキの店舗には10万点もの商品が売られているが、この数は大型スーパー並みだ。膨大な量の商品が、迷路のような店内で、「圧縮陳列」といわれる“カオス”な手法で売られている。店内を歩いていると、何か商品を買わずにいられなくなる。
店のPOSデータはリアルタイムで共有されている。現場の従業員に「なぜこれを仕入れたのですか」と聞くと、明確な答えが返ってくる。さらに、自分の責任で仕入れた商品が売れなかった場合は、自らが他店に引き取り交渉をする“徹底”ぶりだ。
ドンキの“常識を疑う力”
日本の食品小売業には慣例がある。それは「3分の1ルール」と呼ばれるもので、賞味期限が残り3分の1を経過したものは販売しないというものだ。しかし、ドンキはそのルールを無視して商品を販売し、成功した。また、これまでの小売りの教科書では、何よりもキレイな陳列を良しとした。それに対して、ドンキは乱雑ともいえる陳列で成功した。つまり、多くの業界人が常識に縛られて思考停止していた一方、ドンキは顧客に支持される方法を考え続けて新たな手法を構築していったといえるのだ。もはやスーパーマーケットや大型スーパーはドンキの後塵(こうじん)を拝し、閉店後にドンキが居抜きで進出するような状況になっている
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