「勤務間インターバル」とは? 人事担当者必見の「働き方改革」用語解説:必須キーワードを識者が解説(2/3 ページ)
働き方改革関連法が可決・成立し、企業にも具体的な対応が求められます。企業の人事担当者が押さえておくべき「働き方改革」のキーワードをピックアップ。労働問題を扱う新進気鋭の弁護士が、用語の概念と企業が取るべき具体的な対策方法を解説します。今回は「勤務間インターバル」を取り上げます。
(2)制度内容・導入方法
まず、インターバルの時間(休息時間)を何時間に設定するかを検討します。その次に、インターバル後の勤務について、(1)始業時刻のみを繰り下げて終業時刻は維持する(繰り下げない)方法、(2)始業時刻と終業時刻の双方を繰り下げる方法、のどちらを選択するかを検討します。
(1)「始業時刻のみを繰り下げて終業時刻は維持する(繰り下げない)方法」で問題となるのは、短縮された時間の取り扱いです。賃金を控除しない方法だと、毎日定時で退社せずに日によって労働時間を長くしたり短くしたりする方が残業代を発生させることになります。他方、(2)「始業時刻と終業時刻の双方を繰り下げる方法」だと、終業時刻が遅くなって深夜労働が増えますし、労働時間短縮や睡眠時間確保の効果も期待しがたいでしょう。
また、フレックスタイム制や裁量労働制において、勤務間インターバル制度をどのように整合させるかという問題や、インターバル制度を設けられない例外(時期・部署等)を定めるのか、といった問題もあります。これらについては、他社事例が紹介されている文献や専門家のアドバイスを参考にして、自社に適した内容を検討していくことになります。
導入方法としては、おおむね以下の3つが考えられるでしょう。
- 問題ケースが予見されても、全体的に労働者の生産性を上げるために積極的に導入してみる
- 部分的に導入する(問題ケースがあれば改善し、徐々に運用対象を拡大する)
- 制度として導入はしないが、深夜残業があった翌日は昼からの出勤を許容する(遅刻扱いにしない)など運用レベルで対応する
「勤務間インターバル制度」は打ち出の小づちではないので、労働時間の削減やその前提となる適切な労働時間の把握・記録は、別途実施する必要があります。また、インターバルの対象となった社員やインターバル後の始業時刻を職場内で共有できる体制も必要です。そうしないと、インターバルによる休息時間中でも、携帯電話やメールにより業務の指示・連絡がなされ、結局、自宅や通勤時間中に仕事をするという事態になりかねないからです。
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