発売から1年「折れても元通りになる雨傘」は売れている? 製造元に聞いてみた:「郵便局」で売り始めたワケは(2/3 ページ)
「折れても元通りになる雨傘」が世に出てから1年超が経過した。昨年SNSで話題となったこの商品は、どれほど売れたのか。製造元の長寿乃里に手応えを聞いた。
子ども用の傘の売り上げ増が課題
好調の「折れても元通りになる雨傘」だが、課題も出てきている。
「小さな子どもの安全を守りたい」との思いから今年2月に発売した子ども向け商品「ポキッと折れるんです KIDS」(税込1620円)は、大人向けほどの売り上げと認知度を得られていないという。金子さんによると、その要因はサイズだ。
「子ども向け商品のサイズは55センチ。小学校低学年にはぴったりだが、幼稚園児には大きすぎ、小学校高学年にはやや小さいため、ターゲットが狭い点は否めない。だが、折れても元通りになる仕組みを維持しつつ、小型化するにはこのサイズが限界。これ以上小さくすると、普通の傘と同じく折れてしまう」
サイズ変更は難しいため、スペックは現状のまま、マーケティングへの注力によって販売増を目指す。ただ、子ども用の傘は現在も郵便局が主要な販売先。東急ハンズの一部店舗で取り扱いがあるものの、家電量販店などへの展開はできておらず、販路拡大も課題の一つだ。
店舗では子どもが自ら買うケースはまれで、郵便局などに立ち寄った保護者が「面白そう」と手に取って購入するケースが大半だといい、「子ども用の傘には、前が見える透明のビニール窓や、ぶつかってもけがにつながりにくい丸い先端パーツなどを採用している。こうした安全性の高さをもっと訴求していきたい」としている。
ブランドイメージの浸透も課題
また、大人用の傘そのものは人気が出ている一方で、当初の目的だった「石けん以外でもお客さまの肌を守りたい」とのブランドイメージの浸透は「まだまだ進んでいない」という。
当初はブランドイメージの向上により、通販で培った顧客基盤を生かし、既存顧客に傘を買ってもらうことも視野に入れていた。
「石けんはリピート率が高く、使い切ると再度注文をいただくことでビジネスが成立している」が、「『ポキッと折れるんです』は『壊れないこと』、つまり『リピートせずに使い続けられること』が魅力の製品。両者の特性は異なるという考えに至った」という。既存顧客に対する傘のマーケティングは今後の課題だ。
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