厚労省“ブラック企業リスト”更新 「他社の給料を横取り」した保険会社が追加:外国人の酷使、給与未払いも多発
厚労省が労働基準関係法違反の疑いで送検された企業のリストを更新。他社と労働者の雇用関係に割り込み、給料を中間搾取した企業が追加された。外国人の酷使、給与未払いも多発していた。
厚生労働省はこのほど、労働基準関係法違反の疑いで送検された企業のリストを更新した。6月までの分として40社を追加した一方、厚労省が「掲載の必要性がなくなった」と判断した企業を削除し、掲載企業は416社となった。
2017年5月に初公開。公表から1年がたったため現在は削除されているが、当初は電通本社やパナソニックなどの大企業が名を連ねる“ブラック企業リスト”として話題を呼んだ。
他社の給料を横取り
今回リスト入りした和歌山県の保険事業者「南紀保険グループ」(新宮市)は、他社の就業管理・給与支給に不当に介入し、他社が労働者に支払うはずの給料の一部を15カ月間にわたって搾取し、利益を得ていたという。
和歌山労働局は「他社と労働者の雇用関係に割り込み、給料を中間搾取するという構図。いわゆるピンハネで、明らかな法律違反だが、手口の詳細や搾取した金額については、捜査などの関係上開示できない」(労働基準部 監督課)と説明する。
外国人技能実習生の酷使、給与未払いも多発
過去の更新と同様、外国人技能実習生の酷使や、社員への給与未払いが発覚してリスト入りする企業も多かった。
岐阜県の繊維事業者「坂口縫製」(岐阜市)は、技能実習生9人に対する「36協定」の締結や届け出を行わず、違法な時間外労働を課していた。残業などに伴う割増賃金も支払っていなかった。
同じく「見須縫製」(羽島市)は、技能実習生7人に対する「36協定」の締結や届け出を行わず、違法な時間外労働を課していたほか、労働基準監督官に虚偽の報告を行っていた。
千葉県の建築業者「白石建設」(市川市)は、労働者2人に対し、10カ月分の定期賃金計約650万円を支払っていなかった。愛媛県の建築業者「ネクストステージ」(松山市)は、労働者3人に対し、2カ月分の定期賃金契約140万円が未払いだった。
厚労省は「過労死をゼロにするため、今後も引き続きリストを更新していく」(労働基準局 監督課)としている。
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