「同一労働同一賃金」とは? 人事担当者必見の「働き方改革」用語解説:必須キーワードを識者が解説(2/2 ページ)
働き方改革関連法が可決・成立し、企業にも具体的な対応が求められます。企業の人事担当者が押さえておくべき「働き方改革」のキーワードをピックアップ。労働問題を扱う新進気鋭の弁護士が、用語の概念と企業が取るべき具体的な対策方法を解説します。今回は取り上げるのは「同一労働同一賃金」。
(2)待遇差の内容・理由などに関する説明義務
先述したように今回の同一労働同一賃金に関する法改正では、パート労働法・労働契約法・労働者派遣法の3法が改正され、施行日は2020年4月1日からとなります。改正前「パート労働法」では、パート社員の雇入れ時および雇入れ後に求めがあったときに、待遇および待遇決定に際しての考慮事項に関する説明義務が設けられていました。また、派遣労働者についても、雇用しようとするとき、および求めがあったときにも、待遇内容および待遇決定に際しての考慮事項に関する説明義務が派遣元事業主に課されていました。
今回の法改正では、まず有期雇用労働者を待遇内容および待遇決定に際しての考慮事項の説明義務の対象者に追加しました。その上でパートタイム労働者と有期雇用労働者からの求めがあった場合に、比較対象となる正社員との待遇差の内容・理由などの説明を義務化しています。さらに、上記の説明を求めたことを理由とした解雇その他の不利益取り扱いも禁止しています。
また改正派遣法では、派遣労働者からの求めがあった場合、派遣元事業主は、派遣先で比較対象となる労働者との待遇差などについて説明義務を負うこととし、説明を求めたことを理由とした不利益取り扱いも禁止しています。
(3)行政による履行確保措置および裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
パートタイム労働者に適用されていた履行確保措置や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定を、有期雇用労働者や派遣労働者にも適用することとしました。
現状の法規制と法改正のポイント
現状の法規制と、法改正のポイントは次の通りです。
(1)有期雇用労働者もパート労働法の対象に含め、同法の名称を変更
(2)不合理な待遇差を解消するために、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について「均衡待遇」と「均等待遇」の規定を整備
(3)待遇に関する説明義務を統一的に整備し、待遇差の内容・理由などの説明義務や、説明を求めた場合の不利益取り扱いの禁止を定める
(4)行政による助言・指導などや行政ADRの規定を整備
著者プロフィール
高仲幸雄(たかなか ゆきお)
中山・男澤法律事務所パートナー弁護士
早稲田大学法学部卒業。2003年弁護士登録。現中山・男澤法律事務所所属。国士舘大学21世紀アジア学部非常勤講師。著者に『改訂版 有期労働契約 締結·更新·雇止めの実務と就業規則』(日本法令)、『異動・出向・組織再編 適正な対応と実務』(労務行政)など著書多数。
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