ワタミを救った「鶏肉」に外食チェーンが熱視線を送るワケ:牛や豚より何が優れているの?(4/4 ページ)
経営不振に陥っていたワタミが鶏肉をメインにした業態の店舗を増やすことで復活しようとしている。近年、鶏肉をメインにした業態に大手外食チェーンが次々と参入しているが、ビジネスモデルの観点から牛や豚より鶏が優れている理由を考察する。
飲食店にとってのから揚げの魅力とは?
次に外食チェーンから見たから揚げの魅力を考察してみよう。
から揚げは安くてボリュームがある商品で、大人だけでなく子どもにも人気がある。ただし、家庭で調理するには油で揚げる手間がかかるので、スーパーやから揚げ専門店で持ち帰って食べたいという消費者のニーズが一定数存在する。
チェーン展開を考えたとき、から揚げを扱うことのメリットは大きい。安くてボリュームがあるので、節約志向の消費者も満足しやすい。同じ価格のから揚げ、豚バラ炒め、牛カルビ炒めがメニューに並んでいたとしよう。から揚げは値段の割にはボリュームを出せるので、消費者の目を引きやすい。しかも、原価が安いので、利益を出しやすい。
から揚げは下味をつけて油で揚げる料理なので、お店ごとに味のばらつきが出にくく、チェーン展開が容易になる。味付けを工夫すれば、国産と外国産の違いは分かりにくくなる。
鶏肉が注目される理由とは
鶏肉に外食チェーンが注目しているのは「安い価格でボリュームを出しやすく、利益率が高い」「チェーン展開しやすい」といったあたりに理由があるといえるだろう。
景気の回復を消費者が実感できないなかで、節約志向が強まっている。そんな状況では「安い」「お得」のイメージがある鶏肉は消費者に支持されやすい。さらに、から揚げ、焼き鳥、チキンナゲット、フライドチキンといったように、消費者が好む料理も多く、マーケットが大きいので参入余地がある。
ビジネスモデルの観点からみると、牛や豚と比べて鶏肉を提供することのメリットはこれだけあるのだ。
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